撮影=髙木博史/ヘアメイク=結城藍

オンライン化が進むことで可能性や表現の幅が広がる

── KREVAさんは4月から5月にかけてYouTubeチャンネルで精力的に発信していましたよね。しかもビートメイキングの様子をリアルタイムで生配信していた。

これは以前にやっていた「完全1人ツアー」で、ステージ上で即興のビートメイキングをしていたことから地続きの発想ということなんですよね。

KREVA もちろんそうですね。ただ、「完全1人ツアー」って、チケットを買ってもらってライブハウスなりホールなりに集まってもらってやる以上、何らかのショーを見せなきゃいけないというのがあるんですよ。ちゃんと達成感がないといけないというか。

でもビートメイクに関しては本来ドキュメンタリーだから。もしかしたら何かがトラブったり、できないかもしれないっていうこともあるじゃないですか。そこも含めて見せてくのがおもしろいと思ったし。どっちかというと「完全1人ツアー」でも見せたかったのもそういう感じなんです。

もともと「こうやって作っていくんだよ」というのをライブ感たっぷりに見せてくのがやりたかったから。この状況が生んだことだけど、これがほんとにやりたかったことなんじゃないかなって思う瞬間もあった。

── むしろライブではなくYouTubeの生配信でビートメイキングを見せるということに手応えを得ていった。

KREVA うん、おもしろかったですね。それに自分は毎日家でビートを作ってるから「これくらいの時間があれば曲はできる」という感覚もつかんでいたんで。できないってことはない。そういう自信もあったかな。

── たしかにここにはすごく大きな可能性がありますね。エンタメに教育としての要素を織り込む「エデュテインメント」という形式があると思うんです。

それがアーティストの音楽活動に結びつく可能性がある。コロナ禍によるオンライン化が進むことで今後そういう表現の幅が広がるように思います。

KREVA たしかに幅が広がりそうというのはあるかもしれない。今まではライブハウスとかホールに人を沢山集めてやるっていう発想ばっかりだったけど、そうじゃない方がやりやすいこともあるというか。

もちろん人を呼んで、みんなを盛り上げるのも好きだけど、やっぱりそれが身体に染み込んでしまってるがゆえに、自分のやりたいことを無意識のうちにその枠にハメて考えていたなって。でも、今のこの状況になって、逆に見せやすくなってる気がする。

── 緊急事態宣言は明けましたが、これでYouTubeライブは一段落という感じなんでしょうか。またやるつもりはありますか。

KREVA 一段落のつもりだったんだけど、またやりたくなってる自分はいますね。新しいカメラをポチッたりしてるんで(笑)。さらにクオリティを上げてやりたい。

あとはトラックメイクをずっと観ていたい人もいると思うんで。これまではシンプルなところしか見せてないから、じっくり3時間かけて、ひたすらビート作ってるところを見せるのもいいと思うしね。

こういう世の中になってきたがゆえに、あんまり手を広げすぎず、興味あるところを追求していくのがこれからの形だと思ってますね。

── ちゃんとお金をとってオンラインでトラックメイキング講座やるの、いいと思います。

KREVA それはほんとにやりたいね。教えたいテクニックはいっぱいあるし、そこにちゃんとフォーカスして全部見せるっていうね。それはやってみたいな。

しっかり事前にアナウンスして、トラックメイクをやってる人を集めてね。そういう場所を作りたいというのは2〜3年ぐらい言ってたから、そこに向けての一つの道筋が見えてきたのはあるかな。

── 6月24日にオンラインライブの<KREVA Streaming Live「① (マルイチ)」>も開催されます。今はこれにむけてもいろんなことを仕込んでいるところでしょうか。

KREVA そうだね。今まさに計画中って感じです。楽しみにしててください。

プロフィール

KREVA

1997年、LITTLE、MCUとKICK THE CAN CREW結成。2004年6月に活動休止後、ソロ活動に専念。同年9月08日(クレバの日)にメジャーデビューシングル「音色」リリース。

以降、常に“HIP HOPソロアーティスト「初」”と称される精力的な活動を続け、2019年、ソロデビュー15周年イヤーには9月08日 (クレバの日)まで9ヵ月連続リリース、ホームである日本武道館公演を開催。

ニューベストアルバム『成長の記録 ~全曲バンドで録り直し~』、オリジナルアルバム『AFTERMIXTAPE』と2枚のアルバムを発売。2月19日には、LIVE Blu-ray & DVD『KREVA BEST NEW ALBUM LIVE 成長の記録 at 日本武道館』を発売。6月24日、「素敵な時を重ねましょう feat. SONOMI」をKREVA OFFICIAL GOODS ONLINE SHOPで 限定販売。

11月6日(金)より全国公開映画『461個のおべんとう』に出演。

しば・とものり 1976年神奈川県生まれ。 ライター/編集者。音楽やカルチャー分野を中心に幅広くインタビュー・記事執筆を手掛ける。主な執筆媒体は『ナタリー』『CINRA』『MUSICA』『papyrus』『MARQUEE』など。ブログ

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