そうですね。もしかしたら、今の状況がこの先よくなって、本来の初日に幕を開けられたかもしれない。だけど、現状では稽古もできなくって。舞台は、稽古をしなければ、絶対に本番を迎えられないものだから。

稽古期間は、あればあるほど作品はよくなって、それがたった1日、2日の差でも、本当に大きくて。だから、稽古ができずに、お金をいただいて観せる作品なんて、とても作れない。無理な話です。

だから、ミュージカルをはじめ、舞台に関わっている方たちは、今はもう、「仕方がない」のひと言しか出てこないというか。。

--『ウエスト・サイド・ストーリー』も、Season3は、初日が延期になった後、予定していた全公演の中止が発表されてしまいましたね。

『ウエスト・サイド・ストーリー』Season3のことを考えると、ステージに立つまでの、稽古期間中の労力をわかっているから、本当に胸が苦しくなります。まさか、Season2の最後の日が、『ウエスト・サイド・ストーリー』の最後の日になってしまうなんて…。

--2月下旬に、Season2は残り13公演を残して公演中止となったんですよね。あのときはまだ、現在のような状況は、まったく想像もつきませんでしたから。

4月初旬に、Season2とSeason 3の両方に出演するキャストの方たちと、連絡を取る機会があったんです。「4月の十何日に初日になる予定だから、明日くらいからまた、劇場に入って稽古する予定なんだ」って、聞いていて。

でもそれが、もう、結局ずっとなくなってしまって…。

--初日が徐々に延期になるのは、本当につらい話だと思います。

初日の幕が開くかわからない中で、稽古をしている状態は、神経が一番疲れると思うんです。もし自分だったら、「きっと公演できる」っていう思いより、「幕が開かないかもしれない」っていう思いに気持ちを持っていかれて、稽古に集中できなかったと思うから。。

『ピーターパン』に関しては、中止になってしまったけど、嬉しいこともあったんですよ。

「作品は形にならないまま終わってしまったけど、台本だけは送らせていただきます」って、プロデューサーさんたちが言ってくださったんです。

台本は近々もらえる予定なんですが、今年の『ピーターパン』は、演出家さんが変わって、脚本の中身も変わる予定だったから、去年との違いを確認できるのがすごく嬉しくて。

形にならなかった台本が、キャストさんの手元まで届くことってなかなかないと思うんです。だから、これから読むのが楽しみで。過去一番、きれいな台本になると思うんですけどね。それはそれで、すごく素敵だなって。

--「先の状況がわからない」「活動したくてもできない」という状況を聞いていると、佐江ちゃんがSNH48へ移籍後に、活動したくてもできなかった、あの頃を思い出します。

バックナンバー