今年はコロナ渦で多くの映画祭が中止を決定したり、オンラインのみでの開催を発表しているが、PFFは国立映画アーカイブで開催するべく準備を進めている。
一部のプログラムではオンラインでの配信も予定しているが、映画祭の基本は同じ場所に様々な人が集まり、同じスクリーンに向き合い、そこで語り合うことにあるのではないだろうか。
映画祭をオンラインのみにする考えは「まったくなかったです!」と笑顔を見せる荒木啓子ディレクターに映画祭の魅力、PFFならではのこだわりや想いをきいた。
第42回ぴあフィルムフェスティバル
9月12日(土)~26日(土)[月曜休館]
会場:国立映画アーカイブ(東京都中央区京橋3-7-6)
チケット購入はこちら
0570-02-9999 (Pコード:551-184)
※各回とも上映前日の23時59分まで発売
※発券手数料、システム手数料は、一切掛かりません。
※チケットの払い戻し、交換、再発行はいたしません。
※チケットは会場では発券できません。必ず発券して会場までお越しください。
審査とは“選ぶ”ことではなく“発見”すること
1977年に「第1回ぴあ展〈映像部門〉」の名前でスタートした本映画祭は、長年に渡って自主映画を公募し、映画祭のメインプログラム“PFFアワード”から多くの商業映画監督が誕生している。
その審査方法も独特で、1作品につき3人のセレクションメンバーが作品を止めることなく鑑賞して一次審査を実施。その後の二次審査では審査員全員で合議を行う徹底ぶりで、応募する側もセレクションする側も長い時間と熱意を注いで入選作品が決定する。
「コロナで最初の審査会議(一次審査)を集まってできないねって話になった時はツラかったですね。でも、入選作品を決める審査(二次審査)は何があっても会って話さないとダメだと思ったので、審査会場をひろい場所にして2メートルずつ離れ、マイクとスピーカーを配置して、それだけで思わぬ予算がかかっちゃって(笑)。
というのも、PFFの審査は点数をつけて良いものをあげていくようなものではなくて、自分の発見できないことを別のメンバーが発見して話し合うことの繰り返しで、それはやっぱり直で会って話せないとできないんですよ」
PFFアワードには応募作品の長さやジャンル、応募者の年齢などの制限が一切ない。さらに入選作品数の上限や決まりもない。すべてが応募作品を何度も観て、話し合う中で決まるという。
「ここにある入選作は私のセレクションをみてください! というものではなく、16人のセレクションメンバーが徹底的に観て話し合った結果、“何かがある”と説得されたものが残っているんです。ですから、仮に私が“まったく理解できない”と思ったとしても、その作品について熱く語る人がいて、ああ、なんということだ、発見できなかった! とたじろぐ……その繰り返しなんですよ。多数決での決定もなく、だから、入選ボーダーにある作品のことは忘れません。ラインアップ決定は本当に難しいですよね。」