この作品に人生を救われるときが来るんじゃないか
2020年は1月から2月にかけて、『勇者のために鐘は鳴る』で劇団EXILEのメンバー全員で作り上げた作品で初めて同じ舞台に立つなど、幸先の良いスタートを切ったが、その後のコロナ禍に否応なく巻き込まれた。出演していたドラマ『美食探偵 明智五郎』も困難に見舞われたが、落ち着いた精神状態で、淡々と目の前の現実を受け入れてきた。
「別にカッコつけてるわけでもなく、自分の中ではなにも変わらずにこの作品にも臨んでいますね。僕らの仕事が社会の状況に影響を受けるのは当然ですから。語弊があるかもしれないけど、雨が降ってきたら最初は濡れるかもしれないけど、それから傘を差したり雨宿りをするのと同じで、(撮影や公演が)できないのはしょうがないし、できるようになったらやるだけ。
そんなふうに言えること自体が幸せなことで、そのありがたみを理解できていないということなのかもしれませんが……。こうして役や作品のことだけを考えて、悩めるということがすごくありがたいことなんだなというのは感じています」
自身の役がどうなるのかについては「自信はないです(苦笑)」と言いつつ「大口をたたきますが、すごい作品ができると思います」と作品そのものの面白さについては揺らぐことのない確信を持っている。
「言葉にならないような感動を持ち帰ってもらえると思うし、僕自身、この先、自分が“死”というものと向き合ったときに、この作品のことを思い出して、カムパネルラの気持ちが本当に分かるときが来るんじゃないかなと思っています。もしかしたら、観客の皆さんにもそんな瞬間が来るんじゃないか? この作品に人生を救われるときが来るんじゃないかと思っています。
今なお佐藤の中でも「想像のつかない」作品がどのように形になるのか? 楽しみに待ちたい。
音楽劇『銀河鉄道の夜2020』
2020年9月20日(日)~10月4日(日)
KAAT 神奈川芸術劇場<ホール>