撮影:阿部章仁

遠慮しないで書いても受け止めてくれる人たち

――「ねずみの三銃士」は第一回企画公演の『鈍獣』が2004年。その時点ですごい3人が集まったな、と思っていましたが……。

宮藤 最初に頼まれたときのこと覚えてます。うちの近所のパスタ屋に成志さんが来たんですよ。「俺行くから来い」って呼び出されて、パスタ食べながら「お前、書くだろ? 書くよなあ?」って(笑)。

河原 世が世ならパワハラ甚だしいよ(笑)!

宮藤 その時は「ここでパスタ食べちゃったら絶対に書かなきゃいけなくなる」と思って、アイスコーヒーだけ飲んで帰ってきました。

河原 銀座の寿司屋ならまだしも、宮藤さんちの近くのパスタ屋って! 宮藤さんが本を書くって決まって、「じゃ、演出は河原で」って、そこからずっとセットで呼ばれて。

宮藤 最初、作家も演出家もその都度変えるって言ってましたよね。

河原 そうだったっけ?

宮藤 そう。でも2本目も頼まれて。あれ?と思ってたら3本目も……。今となっては誰かに変わったら嫌だなって思うくらい続いちゃった。

河原 『鈍獣』の頃は僕らもまだ30代前半で。

宮藤 僕も、外部に脚本を書いたのも、自分が演出せずに脚本だけ預けるのも、『鈍獣』がほぼ初めてだったんです。

――そこから宮藤さんも河原さんもいろんな作品に携わられて活躍の幅も広がっていますが、そんな中で「ねずみの三銃士」はどういう存在ですか?

宮藤 河原さんの演出だし、役者3人がすでに決まってる、しかもあの3人。1回めこそ少しびびってましたけど、2回めからはもう何を投げてもいいかなって思っていますね。

『印獣』で三田佳子さんをキャスティングした頃から、もう何をやってもだいじょうぶだって。だから遠慮しないで書くというのが、このシリーズをやるときのマナーですかね。

河原 ずっと変わらず上にいる先輩たちなので……。この現場に来ると改めて「俺って全然偉くないんだな」って思わされる(笑)。

宮藤 確かに! それはそうですね。あんなにすごい先輩たちがいるんだから。

河原 もちろんどの作品もいつも精一杯取り組んでいますけど、この3人とやらせてもらえる時は「すっごく面白いもの、他の追随を許さないくらい突き抜けたものが作れる!」って思えるんです。その分、しんどいことも多いですけど、この企画にはホント感謝ですよ。

作品情報

PARCO劇場オープニング・シリーズ
“ねずみの三銃士”第4回企画公演『獣道一直線!!!』

日程:10月6日(火) ~ 11月1日(日)
会場:PARCO劇場
料金:10,000円(全席指定・税込)
U‐25チケット:6,000円(観劇時25歳以下対象、要身分証明証、当日指定席券引換)
※「パルステ!」、チケットぴあにて前売販売のみの取扱い

作:宮藤官九郎
演出:河原雅彦
出演:生瀬勝久、池田成志、古田新太、山本美月、池谷のぶえ、宮藤官九郎

ライター。電話がつながらないときはだいたい劇場かライブハウスにいます。演劇を中心にエンターテイメント系記事を雑誌、webで執筆。雑誌『SODA』で「大人女子のための歌舞伎入門」、『ピクトアップ』にて「芸人、かく語りき」を連載。