6時間の作品も! 映画が“長尺化”する理由
また今年は原一男監督の『水俣曼荼羅』(369分)、C.W.ウィンター&アンダース・エドストローム監督の『仕事と日(塩谷の谷間で)』(480分)、マノエル・ド・オリヴェイラ監督の『繻子の靴』(410分)など長尺の作品が多い。
「原監督はすごい監督だと思います。『水俣曼荼羅』は監督から連絡が来て、休むことなく6時間ぶっ通しで観て、すぐに上映させてくださいと連絡しました。期待以上のものでしたね。長尺の映画は長い分、ほかの映画が上映できなくなるので、映画祭としては考えなきゃいけないんですけど。
長尺の映画が増えているのは、興行にかける作品の選択肢が増えて、2時間を超えるものであっても上映してくれる劇場は上映してくれるようになったからだと思います。90年代だったら4時間もある映画は"短いバージョンはないんですか?”って言われていたと思うんですけど、いまは長い映画を映画館できっちり観るお客さんがある程度いる。『サタンタンゴ』がヒットしていたり世の中の変化を感じます。
もちろん、ダラダラと長いだけの映画だと退屈するので、その映画が4時間、6時間必要なんだと思わせるものができるとお客さんはついてくる。その結果、今回は長い映画が3作品にもなってしまったので会場を変えたりしながら上映することになりました。
上映時間だけみて頭ごなしにやめようというのではなくて、良いものであればちゃんと上映しようと。映画と配信が組むことが増えると、上映時間を気にする必要がなくなる。30分でもいいだろうし、4時間でもいい。これから映画館という制約を超えてさらに自由になっていくと思います」