サステナブル ファーム&パーク「KURKKU FIELDS (クルックフィールズ)」 Photo:吉田圭子

“安藤裕子”の固定されない魅力

--小林さんが感じる安藤さんの魅力は?

小林:ベタな言い方をすると、独特の雰囲気を持っているんですよ。あらゆるものの中間にいる感じというか。浮遊している感じというかね。固定されない魅力というか。

もちろん位置付けていく強さ、指し示していく確かさといった魅力も一方ではあるんだけど、彼女の場合はそこじゃない感じがするんですよね。

安藤:曖昧でいたいタイプなんです(笑)。ひとつ強いものを指し示すというほど何かに固執もできないし。わたしは見た目的には生白いし大きくもないから、すごく線の細い女性っていうふうに世間的には思われることが多いんですけど、でも根っこは女性性がすごく薄いんだと思うんですよ。

もともとずーっと男性にしか共感できなくて、女の人に憧れてたんですよね。早く女の人になりたいなって。わたしは姿形は女なのに、女になれない--そういうひとつのものに固定されない違和感っていうものがすべての面においてあって、わたしは音楽の世界で生きているけどミュージシャンではないと思ってるんです。

歌を歌ってるけど歌手ではない。そもそもわたし、音楽スタートの人間じゃないんです。ものを書きたかったりとか映像を撮りたかったりとか、違う場所がスタートなんですよね。流れ流れてミュージシャンになって、気がついたらそっちが生業になっていたんですけど(笑)。