サステナブル ファーム&パーク「KURKKU FIELDS (クルックフィールズ)」 Photo:吉田圭子

人為的ではない自然なバランスで演る方も観る方も音楽を楽しめる

--そういう意味でも、この自然の中で音楽を鳴らすというのは、それ自体が固定化されない表現のような感じがしますね。

安藤:やっぱり小林さんの面白いところでもありすごいなって思うのは、音楽の先に思想がきちんとあるところなんですよね。地球人、人間としての模索をずっとしてらっしゃいますよね。

「裕子、一回来て、見てみてよ」って小林さんに言われて今日初めてこのKURUKKU FIELDSに来たんですけど、ミニマムに世界の循環が表現されていて、ひとつの理想郷だなって思いました。

今年に入っていろいろな道筋が行き詰まっていると感じることが多くて、欧米流の経済システムが日本にはそろそろ適さないんじゃないかなってみんなが感じ始めていると思うんです。

それでこの場所を見たときに、しっくりきたというか、こういう場所がもっと日本に増えたらいいのになって思いました。小林さん自身にも、これからここでやりたいことが溢れてらっしゃるみたいなので(笑)、楽しみですね。

小林:まだ始まったばかりではあるんですけどね。ライブの取り組みは今回で2回目ですから。でも東京からそれほど遠くない--というか割合すんなり来られるところにこんな場所があるっていうのは、ポテンシャルしか感じないですね(笑)。

でも実際ね、この場所で音を出してみるとわかるんですけど、ぐわーっと自然が立ち上がってくるんですよ。緑豊かな自然の中の会場ってたくさんあるけど、“会場”という枠組みに収まっているものがほとんどなんですよね。

でもここはね、人間が音楽をやっている行為と全然負けてないレベルで自然が存在しているんですよ。いい子ちゃんじゃない自然がね。だから裕子が何かしたら呼応してくるものがあると思う。逆に打ち消しあったりということもあるだろうし(笑)。

人為的には作り出せない自然なバランスで演る方も観る方も音楽を楽しめるんじゃないかなと思います。食でもアートでも音楽でも、僕らがやろうとしていることを通じて少しでもいいから何か大切なもの、信じられるものを持って帰ってもらえれば幸せですよね。それが響き合うっていうことですから。

Photo:吉田圭子

「KURKKU FIELDS HARVEST vol.02」

開催日:2020年11月7日(土)
時間:14:50開場/15:15開演
出演 :安藤裕子 × 小林武史× Shigekuni
開催場所:KURKKU FIELDSライブエリア