こんなSMAPが見たかった! のオンパレード

さてライブの模様もお伝えしていきましょう。SEが次第に静かになり、代わりに飛行機が離陸するときに似たゴオオオオオという轟音が鳴り響くと、暗転。いっせいにペンライトの光と「キィヤァァァアアアアアアアア」という歓声がドーム内を埋め尽くします。普段ライブハウスばっかり行ってる自分にとっては、この時点ですでにかなりの非日常感なわけですが、ここからオーバーチュアの映像に導かれ菅野よう子女史による『Theme of gift』が鳴り響くころには、完全に自分もテンションチョモランマ状態。そしてついに5人が登場! ……なんですが、すみません! 自分、あまりの興奮にこのあたりの細かい演出、全っ然覚えてません! 気が付いたら、巨大なういろうみたいな長方形の箱がステージからニョキッと5本生えていて、その頂上に5人が立ってたんです! ううーん全然伝わらない! あえて名古屋風にういろうに例えてみたのが完全に裏目に出てます! とにかく巨大で見たことのないセットで5人が登場したんです!

1曲目は最新アルバム『GIFT of SMAP』の冒頭を飾るアッパーチューン『Just Go!』。ういろうBOX(勝手に命名)から地上に降り立った5人はいきなり前方に飛び出し客席を煽る煽る! そこから『BANG! BANG! バカンス』へとなだれ込むのですが、SMAPと言えば長年の活動の中で、ヒット曲を山ほど持ってます。これまでのツアーでは、そんな誰もが知っている有名曲をそのツアー用に特別にリアレンジしたヒットメドレーのコーナーが設けられることが多かったのですが、今回そのようなメドレーは無し。過去のシングル曲も序盤とアンコールに集約され、その数もいつもより少なかった気がします。

<SMAPリサーチ>『いつからファンになった?の結果を見てみると、20世紀編では'93年~'95年、21世紀編では'01年~'03年に票が集中していますが、アンコールなど会場別のメニューを除いたセットリストの中で、上記年代のシングル曲は『オリジナルスマイル』と『KANSHAして』くらい。『$10』も『がんばりましょう』も『世界に一つだけの花』もない、ある意味攻めたセットリストだったんです。そしてその分、最新アルバムの楽曲をたっぷりじっくり聴かせ魅せる構成になっていたのですが、自分はこれ大正解だと思いました。なんせ『GIFT of SMAP』というアルバムが歴代SMAPの中でも屈指の名作だったからです。

雑誌などのインタビューでメンバーは本作を「ライブを想定して作ったアルバム」と語っていますが、それってつまりは「ファンのことを想って作ったアルバム」と同義だと思います。最新作収録の『gift』なんかは、ズバリSMAPとファンの関係を歌った曲とも捉えられますしね。<SMAPリサーチ>『ライブDVD、いちばんのお気に入りは?の質問で現在ダントツの1位となっているのが、'03年のアルバム『SMAP 016 / MIJ』を引っ提げたツアーを収録した『Live MIJ』。なぜこの作品がここまで愛されているのか、その理由も同じで、『Live MIJ』って歴代のDVDの中でも、「こういうSMAPが見たいんだよ~」というファンの思いがかなりの精度で反映された作品だと思うのです。全公演分のMCを収録した特典映像がついているのも象徴的ですが、SMAP特有の「チーム感」を強く感じることができるライブ作品なんですよね。

今回のアルバム『GIFT of SMAP』とツアーも、まさに「ああこんなSMAPが見たかった!」のオンパレード。『君とBoogie Woogie』でモンキーダンスを踊りまくったり、ひたすらウォウウォウと繰り返すサビが個人的にかなりの問題作(笑)だと思っていた『WOW!WOW!WOW!』もバッチリ披露して盛り上げたりと、序盤からアグレッシブなナンバーを連発。さらに稲垣・草なぎ・香取のトリオによる『I Wanna Be Your Man』では舞台裏からの中継で楽曲には参加していない中居と木村に絡んだりとメンバー間の絡みも多めで、舞台上に常に「SMAPのチーム感」が漂っている構成になっているのが、今回のライブの大きな特徴のひとつと言えるでしょう。