年齢を重ねた今だからこそ発揮されたSMAPの色気
ここで映像出演のタモリ(『世にも奇妙な物語』風の演出がGJ!)によるアナウンスで、メンバーそれぞれによるコントコーナーに突入。そう、SMAPにとってライブとは歌って踊るだけじゃなく、トークもやるし映像もやるしコントもやる、つまりは総力戦なんです。持てる武器を全て使って、とにかくお客さんを楽しませる。そんなSMAPのサービス精神がある意味最もわかりやすく発揮されるのがコントコーナーで、それぞれスマスマなどでお馴染みのキャラクターに扮して熱演を繰り広げたのですが、この日は何と言っても稲垣のC-C-Bゴローがすごかった。すごすぎました。
C-C-Bのボーカルに扮した稲垣がひとりアカペラで『ロマンティックが止まらない』を歌う……なんて文章では到底説明のしようがないネタなのですが、ここ数年右肩上がりで上昇し続けていた人間・稲垣吾郎の面白さは、いまひとつのピークを迎えようとしているのではないでしょうか。発売中の『SMAP×SMAP COMPLETE BOOK 月刊スマスマ新聞』の中でメンバーは口を揃えて「SMAPにおけるコントの重要性」を語っていますが、デビューから20年超、このようなかたちで彼に笑いの魂が爆発することになるとは、誰も予想していなかったのではないでしょうか!! ……すみません取り乱しましたが、でもそれくらい面白かった、と言うか衝撃的なパフォーマンスでした。
いよいよライブも後半戦に突入。秋ドラマ『MONSTERS』の主題歌にも決定した香取ソロ『MONSTERS』がクールに決まったあと、再び幕間の映像が流れます。どこかの国の退屈な王子様。今日もなにか面白いことはないかとたくさんの芸人(スギちゃん含む 笑)を呼びつけますが、彼の退屈を消してくれるものはいません。そんな王子様の目の前に巨大な四角い檻が現れます。中には5人の男の姿が。彼らはどうやら王子様の目の前で、厳重に閉ざされたその檻から脱出を試みるようなのです。一体どうやって脱出するのか……5人の鋭い眼差しが光った瞬間ギターのカッティングが鳴り響き、舞台上には映像の檻(+今回のツアーのコンセプト「GIFT」に沿ったギフトボックスとのダブルミーニング)を模した四角形の巨大セットが現れる――最新作収録の『真夏の脱獄者』の演出は、まさに「俺が見たかったSMAP」であり、その期待のさらに上を行く鳥肌モノのカッコよさでした。
言うなれば<誰にも親しみやすい国民的アイドル>ではなく、<ちょっと危険な色気に溢れた5人衆>。アルバムで言うと『SMAP007~Gold Singer』から『SMAP012~VIVA AMIGOS!』あたり、<SMAPリサーチ>『いつからファンになった?』20世紀編でも回答の上位を占める90年代中~後半のアルバム曲にも通じる、ファンク~ジャズ要素が色濃い中に独特の歌謡性を散りばめた椎名林檎による楽曲もすばらしいし、そんなアウトローな世界観を隙無く体現する5人が熱いんだけど超クール。こういうSMAPの顔は、テレビではほとんど見れないでしょう。もっと言えば、全員がアラフォーという年齢に差し掛かってきたいまのSMAPだからこその色気が爆発したのが、この『真夏の脱獄者』のパフォーマンスでした。
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