加藤和樹 撮影:源賀津己
フォトギャラリー【加藤和樹】インタビューフォトをもっと見る
  • 加藤和樹 撮影:源賀津己
  • 加藤和樹 撮影:源賀津己
  • 加藤和樹 撮影:源賀津己
  • 加藤和樹 撮影:源賀津己
  • 加藤和樹 撮影:源賀津己

映画『グレイテスト・ショーマン』でもその半生が描かれた、P.T.バーナム。見世物やサーカスなど、19世紀半ばのアメリカで次々と大衆を喜ばせる興行を打った、実在の人物である。

彼を主人公にし、『グレイテスト・ショーマン』公開よりはるか前の1980年に初演されたミュージカルが『BARNUM』だ。満を持して日本初演されるこの作品に主演する加藤和樹に話を聞いた。

“話術”で人を惹きつけたバーナムの魅力を“話し方”で伝える

加藤和樹 撮影:源賀津己

――今作への出演が決まったときの気持ちは?

最初にバーナムと聞いたとき、正直なところ、やはり『グレイテスト・ショーマン』が思い浮かびました。でも調べていくうちに、このミュージカルで描きたいのはバーナムが歩んできた人生なんだなと。

そして今の時代だからこそ、サーカスなどの興行を成し遂げる、ショーを作り上げる人物の物語をやることに意義があると思いました。

バーナムという人間は、けっこう自分とはタイプの違う人間なので、自分に出来るかなという思いもよぎりましたが、今はワクワク感の方が強いです。

――現時点では、お客さまにとってもバーナムと言えば『グレイテスト・ショーマン』の印象が強いかと思います。映画とは違う、このミュージカルの魅力はどんなところに感じていますか。

我々が舞台上でやるのはサーカスではない、というのは大きな違いです。サーカスを作り上げた人物の人生を描く中で、そこにどんな人間ドラマがあったのか。

メインは、僕が演じるバーナムと、妻のチャイリー、この夫婦間の愛情や、あるいは日常と興行のあいだで揺れ動く思いの中で、それでも前に進むバーナムの行動力といったものだと思っています。興行師である彼がどんな人生を歩んだのか、そこに注目してほしいです。

あとは、サイ・コールマンの音楽が素晴らしく、胸が高鳴ります。本当にサーカスにいるような楽曲が多いんですよ。心が弾むような、ワクワクさせられる楽曲ばかり。歌稽古をしていても、楽しい気持ちになります。素晴らしい音楽と、その音楽に乗る言葉の魅力はこのミュージカルのみどころですね。

加藤和樹 撮影:源賀津己

――サーカスシーンは、世界三大サーカスのひとつである木下大サーカスが特別協力するというのも楽しみです。加藤さんは先日、木下大サーカスを実際に観にいかれたとか。

めちゃめちゃ感動しました! 自分もお客さまに対して何かを表現する身ですので、あそこはどうなるんだろう、これはどうなっているんだろうと見ようとするんですが、まったくわからなくて。ただただすごくて驚くという(笑)。チャイリー役の朝夏まなとさんと僕、本当にいいお客さんだったと思います。

もちろん作品の参考のために観にいったのですが、途中からそのことを忘れていましたよね。いち観客として心の底から楽しみました。……でもサーカスを興行として成立させるためにどういうものが必要なのかとか、どれくらいの規模なのかとかは、感覚を掴ませてもらいました。

加藤和樹 撮影:源賀津己

――演じるバーナムという男は、サーカスを運営する実業家であり、一方でイカサマ師と呼ばれたりもする人物です。この役に挑むあたり、大事にしたいポイントや、自身にとってチャレンジだなと思う点を教えてください。

人をノセる、人を惹きつける話術を持っている人物ですので、とにかく話し方は大事になってくるなと思います。用意された台詞とはいえ、台詞のように聞こえてはいけない。話し方で、彼の魅力を見せなくてはいけないというのは僕にとってチャレンジかな。

ただ、バーナム自身はちゃらんぽらんな男ではないんですよ。仕事熱心で、むしろ仕事をしていないと生きていけないくらいの人。もちろんイカサマと言われるくらいの、ギリギリの表現をしていた人ではあるので、そこのバランスをどう作り上げようかなと考えています。

彼は“観客を作り出した”と言われている人物でもあります。彼がひとたび喋れば、みんなが観客になってしまうというくらい、人を楽しませる存在。そんな彼の魅力をどう僕の中から引き出していくかは、これからの稽古で頑張っていきたいです。