個人名のような名前を持つ4人組バンド、ミオヤマザキ。2013年に結成された、平成〜令和を駆け抜けるロックバンドだ。
その魅力は、感情をアップリフトする楽曲やミュージックビデオはもちろん、500万ダウンロードを突破したバンドの世界観と連動したアプリ『マヂヤミ彼女』、奇抜なプロモーションアイデア、テレビやTwitterドラマ展開などのメディアミックス、価格差を付けたライブチケット販売、そして2020年には自身最大キャパとなる横浜アリーナでのワンマンライブを実現するなど、革新的な行動力によって熱狂的なミオラー(ファンの意)からの信頼を獲得してきた。
そんなミオヤマザキが“コロナ自粛期間アルバム化計画NEW ALBUMリリースプロジェクト”として、CAMPFIREでクラウドファンディングを実施。700万円の目標金額だったが、結果、2,660万円の資金調達を達成。2021年1月20日にアルバム『Alive』をリリースしたばかりだ。
本作は、サブスクでもSpotify、Apple Music、LINE MUSICなど、全方位のストリーミングサービスで発信されている。
創作スタイルをアップデートした印象を受けたミオヤマザキの最新表現。R指定のボーカル、マモとのコラボ曲「トラウマ彼女 feat.生憎の雨。」含む全12曲を収録。
2013年、メジャーデビュー前から追っかけてきた筆者が、メンバー4人に初のインタビューを試みた。ちなみに、この取材はリモートでのZoomで行われたのだが、ドラマーのHang-Changは遅刻してきた。
好きなように作品やグッズを楽しんでもらうのがうちらのやり方
──コロナ禍である今の時代と向き合ったアルバム『Alive』素晴らしかったです。進化しながらも、ミオヤマザキらしさがちゃんとアップデートされていて。初期衝動がフレッシュなまま薄まっていないことがすごいなと。
mio(Vo) ありがとうございます。
taka(G&Programming) とても嬉しいです。
──あ、Hang-Chang来たみたい(笑)。
mio ははは(苦笑)、全力で謝りなさい(笑)。
Hang-Chang(Dr) すみません!!! 申し訳ございません〜。
mio 何してたの? クビだよ。
Hang-Chang 夜遅くまでNetflix観ていて寝坊しました……。
──ははは(苦笑)、mioさんからのクビ宣言がみられた(笑)。そもそもミオヤマザキは、インディーズ時代からライブを観ていて、初期の頃は雑誌やWEBインタビューを受けないという考えだったので、今回、ようやく取材できることになりました。それこそ、ミオヤマザキはアーティストとしてセルフプロデュースの見せ方が素晴らしいバンドですよね。今や、音楽シーンではネット発アーティストが増えたこともあり、顔出ししなかったり、謎めいた要素を醸し出していたり、ブランディングを含めてアーティスト表現となった時代なので、ミオヤマザキによる宣伝アプローチは、ほんと早かったですよね。
mio よく言えば先駆者かもしれないけど、悪く言えば早すぎるっていう(苦笑)。
──でも、その早さがあってこそ、今回クラウドファンディングでアルバム制作費を調達するという、新しい動きにつながっていると思います。CDセールスがなかなか大変な時代の答えのひとつですよね。
mio ファンも喜んでくれていますね。様々なリターンを用意することで、選択肢があることで自分の好きなように作品やグッズなどを楽しんでもらうというのがうちらのやり方ですね。やってよかったと思います。
──クラウドファンディングという手法は、いわゆるこれまでの時代と比べても、CDを販売して後から制作費を回収するのか、それとも、先に資金を調達するのかの違いですもんね。ファンコミュニティーを確立したアーティストであれば正しい活用方法があると思います。
mio そうなんですよ。もう2回目だし、慣れてきていると思いますね。
大事なものは変わらずに突き進んでいく
──ちなみに、ぴあで初インタビューとなるので、一応、バンド結成の経緯など伺ってもいいですか? 東京、立川で結成したバンドということで。
mio そもそも立川で活動していたふたつのバンドがあって。お互いが同じタイミングでポシャって。メンバーが抜けるとか解散とかなって。で、残ったメンバーで売れたいよねっていう人たちが集まって。私が男メンバーの中に入って。「売れようぜ!」って結成したバンドです。
──目的がレッド・ツェッペリンばりに明確だ。takaさんは?
taka 僕は、ONE OK ROCKのコピーバンドみたいのをやっていて。ボーカルが抜けることになって、先輩で対バンしていたmioが入ってきて。最初から“有名になりたい!”、“売れたい!”っていうベクトルがメンバー間で一致していました。とはいえ、売れるために売れそうな曲を書こうという発想はなかったんです。その時々でうちらが発信したいメッセージを、というのを大事にしてきましたね。
──なるほどね。バンドの世界観へのこだわり、表現方法がミオヤマザキはズバ抜けていたからね。後にアイデア満載のファンクラブ運営だったり、ライブチケットでの価格差をつけての販売方法も見事で。音楽業界が手をつけられていなかった、ユーザーファーストな選択肢を増やしていくサービス提供を実践されていました。
taka やれてたらいいんですけど(笑)。
──やれてる、やれてる。ちなみに、2015年、1stミニアルバム『大人がイイって言ったヤツ』『大人がダメって言ったヤツ』を2枚同時リリースしましたが、「REPLAY&DESTROY」や「水商売」、「ド・エ・ム」。そしてスタジオライブを配信した「山崎美央」が衝撃だったんですよ。このバンド、東京ドーム行けるって思ったもんね。
mio 「山崎美央」という曲は、歌詞の中にライブのキャパ人数が出てくるんです。当時、思っていた感情をぶつけて書いた曲で。それこそ、環境が大きくなっていくにつれて、その時にいるファンだったり大人が言っていることが変わってくるんですよ。私たち自身は変わったつもりはないのに。
見られ方に変化が起きて、自分の中にモヤモヤが生まれて。全部、うるさいよ!って曲でした。私たちは変化はするけど、大事なものは変わらずに突き進んでいくから黙ってついてこいっていう。
taka 最初、mioから渡されたのがA4用紙3枚という膨大な歌詞だったんです。もともと「山崎美央」は、語るに特化した曲で。mioが語る言葉を何一つ削りたくなかったんですよ。そうしたらポエトリーなスタイルになったという。最後にいくにつれて爆発していくアレンジで。
──最新アルバム『Alive』でも、「メンヘラ幸福論」という楽曲が同様なスタイルでしたね。
taka まさに、1周回ってみました。
──最新アルバム『Alive』が完成してみて、どのように受け止められているかを教えてください。
Hang-Chang う〜ん……。……。……。……。
taka あれ、寝てる?(笑)。
Hang-Chang 起きてます、起きてます(苦笑)! ……ずっと聴けるアルバムを作れたと思っています。名作できたなって。一番好きなのは「メンヘラ幸福論」なんですよ。さっきtakaも言ってたように、戻ってきた感も感じていて。俺らがやってきたことって間違ってなかったんだなって。