生きている時に感じたいことを詰め込んだ

写真:2020年1月11日横浜アリーナ「私を愛してくれないなら死んで」

──なるほどね。いいねえ。じゃあ、ひとり2曲ずつアルバム曲に関しての感想をもらおうかな。

Hang-Chang 「生きてるだけじゃダメですか?」ですね。ドラム、ブチ込めた感があって。これまではバンド以外のサウンドがメインだったりして、あまりドラムを派手にできなかったんですけど、デモの段階からシンプルだったので暴れてみました。

──「生きてるだけじゃダメですか?」は、ライブアンセムになりますよね。

Shunkichi(Ba) こんなこと言ったらメンバーやチームから「えっ!」って思われるかもしれないんだけど、正直本作にアルバム感は感じていないんですよ、制作していた時期がイベント中止になった昨年の2月末からで。そこから、この状況でどうしようかって、月に1曲ずつ作って、溜まった曲を集めてのアルバムなので。いわゆる、コンセプトやテーマ性がある作品ではないんです。

なので、特殊な1年となった2020年を振り返るような内容になったなと思っています。曲は、「男捨離POIPOI」のサウンド感が好きで。アレンジャーのnishi-kenさんのアレンジも光ったと思います。そこに対して、mioの一周まわっての言葉や譜割も良かったり。ちょうどいいところをみつけたなって思っています。

ミオヤマザキ配信ライブ「メンヘラソーシャルディスタンス」2020年8月30日マイナビBLITZ赤坂

──ああ、たしかに。ミオヤマザキらしさがありながらもアップデートされていますよね。

Shunkichi ベース弾きとしていいなっていうのは「セフレ以上恋人未満」という曲が、歌詞に引っ張られたというか。もともと、メロディーに沿うようなフレーズが好きなんですけど、歌詞にほんと引っ張られましたね。

ベーシストあるあるな話になっちゃうんですけど、この歌詞にこのフレーズがきたら深みが増すかなって。誰も気がつかないようなポイントかもしれないんですけどね。

──おお、そうなんだね。

mio う〜んと、好きな曲は「ぴえん」。もう、ぴえんという言葉をたくさん使った2020年だったし。曲調も好き。フェスとかで盛り上がるだろうなって。あと、「メンヘラ幸福論」や「セフレ以上恋人未満」も好きだし。私って全部好きなんですよ。

──そりゃ、そうですよねえ。

mio 選べないなあ。アルバムとしては、タイトルが今回『Alive』という通り、生きている時に感じたいことを詰め込みました。いつもそうなんだけど、今回はコロナもあって特に。

あ、「いまどうしてる?」も好きだ。コロナ禍になって、ファンに会えなくなった一番最初に出した新曲なので。こんなに会えないことが辛いのかって。思いが一番込められているかも。

──変化を感じたりはありましたか?

mio ライブがなかなか出来ない1年になったけど、自分と向き合える1年になったのかもしれない。私は、それは良かったのかなって。もちろん、日々の生活で刺激がある歌詞は出てくるんですけど、今回に限っては新しい面の優しい言葉が出てきたというか。すごくよかったなと。

──具体的にはどの辺?

mio 「いまどうしてる?」でいうと“いつかっていう言葉は嫌いだったんだけど、嫌いだった言葉でさえも信じてみたい”という歌詞だったり、「ぴえん」だったら“生きているだけで偉いんだよ”って歌詞とか。

「メンヘラ幸福論」だったら、メンヘラって悪いイメージ持たれがちだけど、でも“傷ついたことがたくさんあるからこそ優しくなれるし、私たちだって幸せになれるよね”って歌ですね。優しさというイメージで。

痛いぐらい突っ込んだサウンドにしたかった

──『Alive』のイントロとエンディングに、mioさんの言葉がSE的に、モノローグとして表現されていました。

mio サブタイトルが1曲目が“where”で、最後の12曲目が“here”なんです。どこに私は存在するんだろうって迷っているんです。でも、アルバムを全部聴いてくれたら、私の居場所はここだって気がつけるようなアルバムになったらなと。アルバムを聴けば、物事の捉え方が変わるし、考え方が変わるよって、そんなメッセージを込めています。

taka Shunkichiが言ってた感覚も近いんですけど、まあとにかく2020年ってSTAY HOMEな期間があって、なんか自分と向き合う時間が良くも悪くも増えたと思うんです。そのなかで、作品の産みの苦しみを過去最高に味わったアルバムになりました。正直病んでしまった時期もあって。

でも、『Alive』ってタイトル通りじゃないけどmioが言っていた通り、1曲目から12曲を通して聴いて、ここにいるんだって実感できるアルバム作品になったかなと。

──なるほどねえ。

taka コロナ禍になって、うちらは本来渋谷公会堂(LINE CUBE SHIBUYA)で4月28日という大事にしている日付に行うはずだったライブが中止になって。そこからグッズと一緒に、3カ月連続でサブスクで配信をスタートしたんです。

4月28日に出した「いまどうしてる?」という曲があるのですが、4月の段階でまさかこんなこと(続くコロナ禍)になるなんて、正直予想できてなくて。あの頃を思い出しますね。あと、メロディアスでキャッチーなサビを作るのが好きで、いつもそっちにいっちゃうんだけど、「いまどうしてる?」に関してはmioの声ですべてを包み込みたかったんですよ。ミオヤマザキの今までにはない、ゴスペル隊が登場するイメージで。うまくハマったなと思っていますね。

あと、ゲストボーカルとしてR指定のマモさんをゲストに迎えた「トラウマ彼女 feat.生憎の雨。」にも力を借りましたし。もう何作もnishi-kenさんとべったり作品を作らせてもらっていて。マスタリングエンジニアは、ソニーの阿部さんという方にやっていただいてるんですが、今回、音質感と音量感をつきつめました。表現が正しいかわからないのですが、メジャーシーンで耳心地のいい音質感と音量感をやろうと思えば全然できるんだけど。でも、マスタリングの途中で違うなって思って。

日々、こじんまりと暗いことが多いじゃないですか? だからこそ音源は痛いぐらいもっと突っ込んだサウンドにしたくて。nishi-kenさんや阿部さんに相談しました。

──ああ、そこが初期衝動感やフレッシュさ、いわゆるミオヤマザキらしさが健在ってところなんでしょうね。しかも、今回、アルバムのリリースはクラウドファンディングを活用されていて、2,660万円の資金を達成していました。

Shunkichi 去年にもクラウドファンディングはやっているんですよ。横浜アリーナで開催したライブのDVDで。その時も、目標金額を越えて3千万を越えました。金額の大きさに驚いたんですけど、それだけ、もっと先の世界を見たいんだなって支援してくれるファンの方々に感じました。

mio 支援額はすごくいったんですけど、でも、もっとCDをいろんな人の手に渡って欲しかったなって。