世界各地で活躍し、その動向が常に注目されているアーティスト、バンクシー。ストリートから紛争地帯、オークション会場など様々な場所で活躍する彼の作品を紹介する展覧会『バンクシーって誰?展』が寺田倉庫G1ビルにて、8月21日(土)から12月5日(日)まで開催されている。
一切のプロフィールを明らかにしていない覆面アーティスト
近年では医療従事者を応援する作品を発表するなど、常に話題をふりまいているバンクシー。彼は現在まで一切のプロフィールを明らかにしていない覆面アーティストだ。けれどもこれまでに応じた様々なインタビューにより、1970年代に生まれイギリスのブリストルで少年時代を送ったと考えられている。
90年代よりストリート・アートを描き始めたバンクシーが注目されるようになったのは2005年のこと。メトロポリタン美術館や大英博物館などの有名美術館にゲリラ的に自作を展示し始め正体不明ながらも広く注目され始めた。
この展覧会は、世界各都市を巡回した展覧会『ジ・アート・オブ・バンクシー展』の作品群を、日本オリジナルの切り口で紹介するといもの。主催者である日本テレビの番組制作スタッフによって作り込まれた世界各地の“ストリート”と、そのなかで展開する14の作品の再現展示が見どころの一つだ。
「現在」を描きだす
バンクシーは「現在」を描きだすアーティストだ。昨年12月に発表された《Aachoo!! 》は、急坂にある壁に描かれた作品。老婆のくしゃみの勢いで、入れ歯は飛び出し、家が傾いてしまったかのように見えてしまう作品。
ユーモラスな作品のなかに、マスクをつけないことで起こる飛沫やウイルスの拡散への警鐘が含まれていると考えられている。
フェルメールの《真珠の耳飾りの少女》をモチーフに、耳飾りの位置に黄色い警報機が置かれた《Girl with a Pierced Eardrum(鼓膜の破れた少女)》は、2014年に描かれた作品。
2020年、この作品は何者かの手によって医療用マスクが描き加えられていることが発覚。バンクシー本人なのか、第三者によるものかは未だに不明だ。展覧会では、かつての《Girl with a Pierced Eardrum》と、現在のバージョンを並べて紹介する。