放送コード、ギリギリアウト…日本版だけの独自シーン

谷賢一 撮影:源賀津己

──4月2日のツイートで、谷さんは「超重要な日本独自の場面を稽古した」とおっしゃっていました。どんなシーンなんでしょうか?

桜井日奈子演じる娘マギーちゃんと、有澤樟太郎扮する彼氏スタンくんによる問題のシーンですね!(笑)

最初にアメリカから届いた上演台本には存在したのに、最終原稿として届いた脚本では一曲まるごとカットされていたナンバーがあったんです。

谷賢一氏 Twitterより
谷賢一氏 Twitterより

──上演台本上で無くなった楽曲を、どんな意図で挿入されたのでしょうか?

高橋亜子さんの訳詞も完成し、僕らもその楽曲を何度も聴いていたから「もったいないから入れようよ!」と原作者に働きかけて。

それで「日本版ではやっていいですよ」とOKをいただいて取り組んでいるシーンなんですけど……テレビなら放送コード、ギリギリアウトくらいの「よくこんな下ネタ放り込んできたな!」ってことのオンパレードで(笑)。

──そういう崖っぷちの内容こそ気になります(笑)! 竹内さんもインタビューの去り際に、下ネタの存在は匂わせていらっしゃって……どんな流れで登場するんですか?

娘の彼氏スタンが……「僕は絶対にセックスがしたい!」って思いの丈をぶちまけます! で、マギーちゃんが「でもでも」と言いつつ拒めない……みたいな掛け合いをしているだけの楽曲が3〜4分。

──たしかに「問題場面」ですね(笑)

原作者は「この作品はマイクと家族の物語だから、娘と彼氏のエピソードは短めに」と考え直してカットしたのかもしれません。

でも訳詞の亜子さんは凄まじい創意工夫でこの楽曲を手がけてくださって、天才的な歌詞になっているんですよ!

「これをカットしてしまうのはもったいない」と半ば使命感に駆られ、何とか日本版では残してもらいました。

青春期の男の子はみんな「セックスしたい!」という強い思い、誰にも負けない志を持っている。好きな人と交わりたい、人間の根源的な欲求と想いを代弁したく、全力で(笑)創作しています。

キャストの愛嬌や、ユーモラスな個性を引き出したい

──下ネタのエピソードで稽古場の大らかな雰囲気がイメージできました(笑)。谷さんは作品を成功させるために、キャストに対して何を心がけながら接していますか?

どういう作品を演出しているかによって、俳優に投げかける言葉や現場の空気のつくり方はずいぶん異なってくるので、毎回あてはまるわけじゃありませんが……今回の稽古場でいえば、とにかく「リラックスしてやれる」という雰囲気づくりは大切にしていますね。

というのも、やっぱりこの作品は基本的にはコメディですから。初舞台の涼真を含め、各自が持っている愛嬌やユーモラスな一面を安心して出せるような、安心できる空気づくりって本当に大切なんですよ。

僕の演技プランを押し付けるんじゃなくて、それぞれの個性を引き出したい。そう考えるとキャストをガッチガチに管理して締めつけるのではなく、自由にやらせて遊べるような余白のある稽古場にしたいんです。

どんな挑戦をしても「恥ずかしくない!」「試してみよう!」と思えるような、ほっこりした現場でありたい。

──リラックスした空気や余白によって生み出された印象的なシーンはありますか?

あの涼真が、女の子にデレッデレになって変な動きをしているシーンがありますよ! あれは面白いけど、僕が彼に強制的に指示してもうまく行かないと思う。

本人が考えて自主的にやり出したから「おもしろいね」って周りも認めて、成立している場面です。

──まさかの谷演出ではない、という(笑)

そう、僕の指示じゃない(笑)。そういう彼の、滑稽でチャーミングな一面が作品の中に表れていることも楽しみにしてもらえたら嬉しいですね。

──開幕が俄然楽しみになりました。体調に気をつけて、お稽古がんばってください!

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  • 竹内涼真 撮影:渡邊明音
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【公演情報】
ミュージカル『17 AGAIN』
劇作・脚本:マルコ・ぺネット
作詞・作曲:アラン・ザッカリー&マイケル・ウェイナー
翻訳・演出:谷賢一
出演:竹内涼真 / ソニン / エハラマサヒロ / 桜井日奈子 / 福澤希空(WATWING) / 有澤樟太郎 / 水夏希 / 他

■東京公演
2021年5月16日(日)~2021年6月6日(日)
会場:東京建物Brillia HALL

■兵庫公演
2021年6月11日(金)~2021年6月13日(日)
会場:兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホール

■佐賀公演
2021年6月18日(金)~6月20日(日)
会場:鳥栖市民文化会館 大ホール

■広島公演
2021年6月26日(土)
会場:広島文化学園HBGホール

■愛知公演
2021年7月1日(木)~2021年7月11日(日)
会場:御園座

※最新の公演情報につきましては、公演公式サイトにてご確認ください。(本ページに掲載された情報は5月7日時点のもの)