「モノマネにならないように演じました」(柳楽)
大泉演じる深見は数々の有名芸人の師匠であるものの、テレビなどのメディア露出がほぼない人物だ。
そのため、浅草界わい以外でその存在がほとんど知られていない。大泉が役づくりをするにあたり参考にしたのは「コント中の音声のみ」だった。
「資料がほとんどない方だったのでコント中の音声を参考にしましたが、その音声を聞くと話し方がたけしさんと同じなんですよ。
まるでたけしさんは師匠の生き写しのようで、たけしさんの振る舞いは師匠の影響を強く受けているんだろうなと感じました。
なので、たけしさんの振る舞いが僕の役づくりの中に入っていたかもしれません」(大泉)
一方、深見とは異なりテレビなど多くのメディアに露出しているビートたけし。そんな彼を演じる上で、柳楽は「モノマネにならないようにすること」を徹底したという。
それはビートたけしを敬愛し、本作の監督・脚本を務める劇団ひとりの意向でもあった。
「今回、タケシを演じるにあたり自然に見えることが一つの大きなテーマだと思いました。たけしさんの雰囲気が板についているところまで持っていきたいという監督の思いもあって。
撮影に入る4ヶ月前からどういう動き方や話し方をすれば自然に見えるのか、監督を含めた色々な方にアドバイスをいただきながら練習を重ねていました」(柳楽)
また、劇中にはタップダンスに勤しんでいた深見の影響で、タケシもタップダンスを始めるエピソードが描かれる。
大泉・柳楽はこのタップダンス習得のため、撮影の4ヶ月ほど前から練習に励んだ。
大泉はタップダンスについて「手品より向いていました」と語る。というのも、大泉は劇団ひとり監督作品『青天の霹靂』でマジシャンを演じていたからだ。
「手品は自分に向かないなと思いましたけど、タップはこれからもまたやりたいなと思いました。やっていて楽しいなと思いましたし、寒い時にタップを踏むと温まるのがすごく良くて。
寒い時期の外撮影でタップを踏むと温かくなるから、できるようになったのは僕の人生にとってプラスでした(笑)」(大泉)
加えて「柳楽くんよりもタップダンスする尺が短かったから言えるんですけどね」と大泉。劇中で柳楽は一曲分のタップダンスを披露するシーンがある。タップダンス初経験で一曲踊る大業を成し遂げた。
「少し踊るならまだしも一曲丸々と踊るのは大変でした(笑)。撮影中もできる時は練習を重ねました」(柳楽)