藤井さんからのオッケーは、安心できる
──個人的には、4話の横川繭(小野花梨)にある真実を告げるシーンの横浜流星さんの芝居にうなってしまいました。
藤井 確かに良かったですよ。
横浜 あそこのシーンは、繭に悪気はないのはわかるけど、でも亮は亮でもういっぱいっぱいで。そんな中で、ああいう言葉を浴びせられかけたら、もう言うしかなかったのかなと。
そのあと、うわーって叫びながらバイクを走らせるんだけど、そこも含めてあんまり自分がどんなことを考えながらやっていたのかとか覚えていなくて。亮として感じたままにやったら、ああなったというのがいちばん近いかもしれないです。
──監督としても、モニターで見ていて絶対にこの表情は撮り逃せないというお芝居がいっぱいあったのではないかなと思います。
藤井 現場には僕専用の再生機があって、「モニターおばけ」とあだ名がつけられるぐらい、モニターにかじりついています(笑)。
俳優の芝居を見るときに大事にしているのは、自分が主観的になりすぎないこと。現場の勢いに任せてOKを出しても、意外と編集の段階になって、すごく泣ける芝居だけど前後と感情がつながっていないよねということがあったりするんですよ。
だから、どんなにいい芝居が撮れたと思っても、なるべくもう1回撮る。大切なものを見落とさないように、まばたきひとつ見逃さないぞという意識で見ていますね。
横浜 だから、藤井さんからのオッケーは信頼できるんです。どれだけ監督がオッケーと言っても、本当にこれで大丈夫なんだろうかという不安が残るんです。だけど、藤井さんは絶対に僕らの芝居を見逃さないから。藤井さんからオッケーをもらえると安心します。
──11月に行われた「Netflix Festival Japan 2021」で、藤井監督は横浜さんの演じる亮について「彼のベストアクトだと言っても過言ではない」とおっしゃっていましたね。
藤井 毎回、僕は今やっている作品が最高傑作だと思っているので、それに出ている俳優たちの演技も必然的にベストアクトだと信じているんです。だから次にやるときは、またそれが流星のベストアクト。来年更新しちゃうかもしれませんし、毎回更新していかなきゃいけないものだと思っています。
横浜 うれしいです。自分も藤井さんとやるときは現状維持じゃなく超えていきたいなと思っているので。だから毎回ワクワクしているし、その分ハードルはどんどん高くなってきますけど、そこは絶対超えていきたいなという気持ちでいます。