壁を乗り越える

--その卒業コンサートを経て、「ミラチャイ」連載は、2016年の春から充電期間に入りましたよね。そして、その3カ月後にリニューアルスタートしました。(第1回)(第2回)

フォトギャラリー【写真満載/別カットも】「ミラチャイ」連載、フォトギャラリー【前編】
フォトギャラリー【写真満載】ミュージカル『王家の紋章』製作会見カット+撮影アザーカットも

--佐江ちゃんが、取材で元気がなかったことは数えるほどしかないのですが、リニューアルスタート第1回目の取材のときは、今までの連載の中でもいちばんヘコんでいたのが、すごく印象に残っています。

この取材のときは、「ミラチャイ」が復活した第一弾だったんだ。。

--ちょうど『王家の紋章』初演のお稽古真っ最中のときだったんですよね。

そうです。お稽古、キツかった…。今振り返ると、あのときはどうしたらいいのか、わからなかったんだと思うなぁ。

48グループに在籍していたときに出演した『クザリアーナの翼』は、私がお芝居の世界にほぼ初めて踏み出させていただいた作品でした。

そのときに経験したカンパニーが、他のミュージカルでもある当たり前のカンパニーだと思ってしまっていて。作品によって舞台の作り方が違うということを、『王家の紋章』の最初の頃は、まだ知らずにいたんです。

それで、「心のよりどころ」みたいな場所が、最初はなかったのかもしれないですね。

もちろん『王家の紋章』の仲間たちも皆、一人一人忘れられない大切な仲間だし、あれからいろんなミュージカルの舞台に立たせていただいて、今はもうどこへ行っても、“このカンパニーではこういうやり方だ”って、見つけ出せるようになってきていますが(笑)

『王家の紋章』の初演でお稽古を始めた当時は、48グループを卒業して、外の世界に初めて踏み出して、右も左もわからない状態の延長線上にまだいたので、お稽古のシステムになじむことがまず大変でした。あと、演じる役があまりにも大役すぎて…。

「よくやったね」って、いろんな意味で「がんばったね」って、自分をほめてあげたい気持ちもありますが、逆に、当時の自分にダメ出ししている私もいます。

いまだにお稽古が始まった頃を振り返ろうとすると、息ができなくなってきます。思い出すと、胸がキュッとなりますね。

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