忘れないで、苦しい時は永遠ではない!プレママ&プレパパにも伝えたい

山本:子育てで、本当に大変な時期っていうのはそんなに長くない。人生の中で考えたら、本当に、本当に一時期で短いんですけど、だけどその時は、いまの苦痛が永遠に感じるようになっちゃうんじゃないかな、と思うんですよ。

そういう時に、僕の空撮写真を見て、ちょっとでも外に目を向けてもらえるきっかけになるのであれば、それはすごいありがたいです。自分が父親になったから余計に「すごいうれしいな」って思いますね。

――山本さん、育児サイトの取材には、迷いもあったとか?

山本:これは妻から聞いた話なのですが、子育てサイトとか相談サイトみたいなのを見ると、みんな「子育て大変!」って書いてあり、それを子どもを産む前に見ると「そんな大変なのか」ってビビっちゃって「産むのやめようかな」「子どもいらないかな」って思っちゃう人が、結構いるらしいんですよね。

だけど……大変な時期って長い人生のうちの本当に短い時間だから、その短い時間のために子どもをあきらめるっていうのは、妻とも「違うんじゃないかな」と話しています。少しでも「子どもを産みたい」って気持ちがあるんだったら「子育て大変なのが心配」とか「お金が心配」とか、そういう心配は考えないでほしいなって。

子どもって3歳くらいまでかわいくて、その後は生意気になって「親孝行も3歳までに終わるよ」って言われていたから僕も覚悟していたんですけど、娘は8歳になっても、メチャメチャかわいいですよ!

子育て、大変だけど楽しいですよ!だから、心配し過ぎないでほしい。

スクワットだって、僕、楽しんでやっていましたよ!ちなみにいまも、背中に乗せて腕立て伏せしてます!

――8歳、となると……いいトレーニングになりそうですね(笑)。

それにしても10年余り前の企画のスタートから、山本さんは結婚して、いまや小学生のパパになって。出版まで、長かったですね(笑)。

山本:カタチになるまで、本当に長かったですね(笑)。

「僕自身が空を飛んだからこそ感じたこと」を絵本に!名編集者との出会い

山本:写真絵本を作り始めた最初の頃、僕は「写真絵本」とか「子ども向けの絵本」って全然分からなかったので、完全にちかぞうさんにお任せで、作ってもらった子ども向けの文章に合うように僕の写真を選んでいたんですよね。

まったく分からない状態で、無理やり写真を当てはめて。

でも昨年、小学館の児童書編集者・喜入(きいれ)さんにお会いしてからは、写真をまず決めて、僕がその写真を撮った時に何を感じて、どう思ったのかというのを説明して、それを子ども向けの文章に直してもらうようになった。

僕が何を思ってその写真を撮ったか、その景色を見た時に何を思ったかっていうのが一番、重要になりました。

例えば『そらをとびたい』にも出てきますが、富士山の上まで行って、この場所に僕がいる時に何を感じたか、それを伝えられるような文章を考えてもらう。そういう作り方になって、一気に、変わりましたね。

――「山本直洋の写真世界」を伝えられるものになりましたね。山本さんのお話はご自身で飛んでいるから、言葉が作り物じゃない。

喜入さんからは「言葉に写真を当て込むと、やっぱり作ったものになっちゃう。」「読者に『そらをとびたい』という気持ちを伝えるためには、写真を撮った写真家が『なぜこの写真を撮ったのか』という想いが伝わらないと、いい絵本にはならない。作家性が必要」と言われて「あぁ、そうか!」と。

山本:僕もそこから、写真の選び方が変わってきて。自分が感じたことを中心に写真を選べるようになりました。

――「この空の向こうには何がある?」とか「この時はこの後!」とか、そういうワクワク感というのは、それこそドローンではなく山本さんご自身が飛んで、生身で感じているからこそ、のストーリーなんですよね。

私も「山本さん自身が生で感じてきたことを子どもに語りかけるのであれば、どんな風かな」「読み聞かせるなら、どんなリズムならドキドキが伝わるかな」と、言葉を置き換えながら、すっごい楽しかった!

プレッシャーは大きかったですけど(笑)。

山本:絵本の中に「モーターパラグライダーが飛んでいる写真」があるんですが、それを入れるかどうか、という葛藤もありましたよね。

最初は「鳥が飛んでいるイメージ」で作りたかったから、実際に飛んでいるところの写真は、全然選んでいなかったから。

でも喜入さんから「モーターパラグライダーが飛んでいる絵」を「すごいおもしろい!」って言っていただいて「鳥が飛んでいる」んじゃなくて「僕が飛んでいる」っていうのを分かってもらえればいいんじゃないか、という話になって。そこからまた、選び方が広がったという部分もありますね。

まさか表紙に、モーターパラグライダーで飛んでいる写真が使われることになるとは思ってもみませんでしたけど。

――風景だけでなく「飛んでいる人」の写真が加わったことで、子どもたちにも「何が飛んでいるんだろう?」と伝わりやすくなって、読んでいただいたお母さんお父さんから「子どもが山本さんに自分を重ねて飛んでいる」という声も届いているんですよ!

山本:うれしいですね!反響は、やっぱり気になるなぁ(笑)。

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