気になる子どもたちの感想は?コロナ禍の大人たちから「心が晴れた」とも

――ところで、娘さんのご感想はどうでしたか。

山本:いやぁ、うちの子は僕と一緒にタンデムで空を飛んだことがあったので、「飛んでいる感覚の感動」というのはたぶん、なかったと思うんですけど(笑)。

でも地上にある自然や人工物の、不思議なカタチを集めたページは「おもしろい!」と言ってくれたり、富士山の写真には反応してくれたり。あとは「これ、一緒に飛んだところの近くだよ!」というような楽しみ方はしてくれました。

娘が通っている学童にも1冊差し上げたんですけど、子どもたちの第一印象は「怖い」だったみたいで。すごい高いところからの写真が多いんで「飛んでいる感覚になってもらえたのかな」と、僕はポジティブに受け取っています(笑)。

「怖い怖い」と言いつつ、みんな見てくれているので。

――我が家にも山本さんのお子さんと同い年の双子がいますが、富士山上空、高度4000mからのページを開いた時には子どもが「ママ……」って、私の腕にギュッとつかまってきて。

子どもがこれだけリアルに感じてくれるのであれば「この絵本、イケるな」って思ったんですけど(笑)。

怖さが落ち着いてからは、腕を翼のように広げて「飛ぶんだ飛ぶんだ」って、部屋の中でグルグル、飛んだ気になっていました

山本:大人の方からは、コロナ禍で外出できなくなってから、この写真絵本や僕の写真を見て「すごい気持ちが晴れた」って言っていただくことが結構多かったですね。

そういう意味では僕の写真も役に立っているというか、感動する以外のところで、意味のあるものになれるんだなぁって感じました。「お見舞いに差し上げたい」と言ってくださる方もいらして、うれしかったです。

『そらをとびたい』は子ども向けの写真絵本ではあるのですが、そういう見方をすれば、大人の方にもぜひ見ていただきたいな、というのはありますね。

空撮写真絵本『そらをとびたい』の写真家・山本直洋さんに、写真家として、パパとしての想いを伺った今回のインタビュー、いかがでしたか。

【後編】では世界初となる「七大陸最高峰空撮プロジェクト」に挑戦中の山本さんに、息子として、父として、また夫として、「子育て」と「夢を追うこと」について語っていただきます。ご期待ください!

※『そらをとびたい』の売上の一部は、医療・災害現場の最前線で「ささやかで偉大な活動を行う人」を応援している【公益財団法人 風に立つライオン基金】に寄付されます。

山本 直洋 さん

1978年東京生まれ。ニューヨークのフォトスタジオに勤務後ファッションフォトグラファー、風景写真家に師事。2008年に独立し、フリーランスフォトグラファーとして活動する。モーターパラグライダーによる空撮を得意とし「Earthscape」と題して“地球を感じる写真”をテーマに作品制作を行う。現在、世界七大陸最高峰を全てモーターパラグライダーで飛行しながら空撮する 世界初「七大陸最高峰空撮プロジェクト」を計画中。

15の春から中国とのお付き合いが始まり、四半世紀を経た不惑+。かの国について文章を書いたり絵を描いたり、翻訳をしたり。ウレぴあ総研では宮澤佐江ちゃんの連載「ミラチャイ」開始時に取材構成を担当。産育休の後、インバウンド、とりわけメディカルツーリズムに携わる一方で育児ネタも発信。小学生+双子(保育園児)の母。