父親への思いが強い故に反動も大きい

左から、森田剛 堤真一 撮影/源賀津己

――本作では、戦時下にとある工場を経営していた父親のジョー・ケラーを堤さんが、ジョーの息子で長男のクリスを森田さんが演じられます。

正直僕はまったく共感出来ない人物です。ただこういうことって、今の世の中にもいっぱいあるんですよね。誰も責任を取らないし、なにも追及されない。それはものすごく恐ろしいことだなと。

僕がこの人に唯一共感出来るのは、自らの罪は認めたということ。ずっと苛まれてきた部分はあったんだろうなと。

ただ自分のやった行為とは別に、クリスや次男のラリーに対する愛情は間違いのないものだったと思います。

森田 クリスはすごく純粋な人だと思います。父への思い、母への思い、弟への思い、仲間への思い。それらは本当に真っすぐで、シンプルではあるんですけれども、そこを突き詰めた時に自分がなにを感じるのか、すごく興味がありますね。

中でも男の子にとっては、父親の存在ってめちゃくちゃ大きいと思うんです。自分を見て欲しい、認めて欲しいって。ただそれ故に反動も大きかったのかなと思います。

――では最後に、本公演を楽しみにされている読者にメッセージをお願いします。

家族というものをもう一度振り返るような、そんな作品になるかと思います。そこには必ずや心震わされるものがあると思いますし、さらには今社会でなにが起きているのか、気づかされるのではないかなと。そういったことからもなにか感じ取ってもらえたら嬉しいですね。

森田 こういう時代だからこそ、生きなきゃいけないとか、人とどう関わるかとか、シンプルながら大切なことがつまっている作品だと思います。そしてこの作品を通してどんな気づきがあるのか、自分自身とても楽しみです。

ヘアメイク/奥山信次[barrel](堤真一)、TAKAI(森田剛) スタイリング/中川原寛[CaNN](堤真一)、吉本知嗣 (森田剛) 衣装協力/パンツ¥33,000[ユハ TEL03-6659-9915]、その他スタイリスト私物(森田剛)