こんな恥ずかしいセリフは蛯原じゃなきゃ言えない

©2022「モエカレはオレンジ色」製作委員会 ©玉島ノン/講談社

――印象に残ったシーンやセリフはありますか。

正直、どのシーンも印象に残っています。救助シーンもそうだし、訓練のシーンも、蛯原が救助隊を目指し始めるきっかけのシーンも……こうやって考え始めるとどれも印象に残っています。

セリフは、萌衣を大切にしたい、という気持ちもありつつ、蛯原の人としての優しさや、いろんな経験をしてきたゆえに出る言葉の重みというのは、自分の中に残っています。

キュンが多いこの作品の中でも、消防士の言葉としてのセリフはすごく響くな、深いな、と思えるものが多い印象でした。

それを演じる上では言葉が軽くなり過ぎないように、ただ言葉にするだけではなくて、蛯原がこういう人生を過ごしてきたからこその言葉だというのが伝わるように考えました。

その辺りは監督とも相談をさせてもらいながら撮ったので、どういう感じに映像として残せているかは自分でも楽しみです。(※取材時、映画完成前)

僕は現場ではあまり映像をチェックしない方なので、「うわっこんな感じなんだ……」って恥ずかしいところもあれば、「自分が思っていたよりはいいな」と思うところもあるかも知れないと思うと、全部のシーンが楽しみですね。

僕自身、ここを伝えたいというような一点集中にはせず、どこが伝わってもいいと思いながらやっていました。全てのセリフや動作に意味がある作品だと思うし、「ここ」って言ってしまうと、そうではない部分を受け取ってくれた方に失礼じゃないですか。

例えば、くだらない会話のシーンだとしても、「わかる!」ってなることも絶対にあるだろうし。僕自身、「俺、甘党なんだよね」ってところに、「わかる!」ってなりましたから(笑)。どこを受け取ってもらってもいいように作ったので、そういう部分も受け取ってもらえたらと思います。

――演じていて「ここはキュンポイントだな」と思ったようなシーンはありましたか。

女の子が胸キュンするところと、男の子が胸キュンするところはちょっと違うのかな、とも思うんですけど。ギュッとするシーンとか、「これ恥ずかしいよ~」となるところは多かったですね。萌衣が体調を崩すシーンとかも。

原作を読んでいたときに「こんな恥ずかしいセリフは蛯原じゃなきゃ言えないよ」って思ったりもしたんですけど、友達からは「自然に言ってるから気づいてないけど、お前も結構そういうこと言うけどね」って言われて(笑)。

ただ俯瞰で見ると「こんなことを言われたら……(照)」みたいな気持ちになるところは多かったので、その辺りはキュンポイントなのかなと思います。

あとは救助のときにかけた言葉がキュンというふうに届く方もいれば、蛯原がトレーニングをしているシーンでキュンとなる方もいるかもしれないし、そう考えるとかなり幅広くキュンが散りばめられていると思います。

――ちなみに岩本さんが相手からされてキュンとするような行動や仕草ってありますか。

普段強がっている人とかに、急に甘えられたり、恥ずかしがられたりとかしたら「何、そのかわいい感じ」って思います(笑)。あざといのは得意ではないんですけど、そういうギャップや弱さを見せてくれると、「この人も人間なんだな」って。っていうか照れますね、こういう話(笑)。