たえず探求を続けた岡本太郎の姿勢

岡本太郎《明日の神話》1968年 川崎市岡本太郎美術館蔵 Ⓒ岡本太郎記念現代芸術振興財団

《太陽の塔》の展示空間を抜けると、《明日の神話》の空間だ。

太陽の塔が1970年、岡本太郎が亡くなったのは1996年。その間の岡本太郎は何してたの?というのが、最後の第6章でギュッと分かる。たえず探求を続けた岡本太郎の姿勢が、作品となって表れている。

岡本太郎《娘と犬》1953年(その後加筆) 岡本太郎記念館蔵 Ⓒ岡本太郎記念現代芸術振興財団

注目したいのは、過去の作品に上描きされた作品群だろう。会場のキャプションでは、元の作品と今見える作品の両方を紹介。元のものに加筆しただけなのか、まったく別のものとして上描きしたのかなど、研究はこれからだというが、とても興味深い。

岡本太郎 Ⓒ岡本太郎記念現代芸術振興財団

展覧会場には、約300点の作品や資料が並んでいるが、岡本太郎の画業だけを紹介する内容ではない。作品の背景には、岡本太郎が実際に足を運んだ場所、彼の行動力、考え、思い、さらに多くの人たちとの関わりが含まれている。

展覧会を見終わった後、私たちは岡本太郎がどういう人間であったか、ということを改めて知ることができるだろう。

なお、この展覧会は東京都美術館(2022年10月18日~12月28日)、愛知県美術館(2023年1月14日~3月14日)に巡回される。それぞれの会場でしか見られない作品もあるので、チェックしてほしい。

開催概要

『展覧会 岡本太郎』
会期:2022年7月23日(土)~10月2日(日)
会場:大阪中之島美術館 4F展示室
時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)
休館日:月曜(9月19日は開館) *日時指定制
料金:一般1,800円、大高1,400円