意識した「公」と「私」の演じ分け

ディーン・フジオカ 撮影:奥田耕平

エリートとして警察庁に入庁し、新しく設立された「科学犯罪対策室」の室長を任された小比類巻。一方で、愛する妻を亡くし、シングルファザーとして幼い娘を育てている。そんな小比類巻を演じる上で意識していたのはどんなことだろうか。

「警察官は、公共のために尽くす人間だと思うので、生活臭というか、個人的なカラーが見えないように意識しましたね。新しい部署を作って、しかも人の命を扱うような場所で、凛としている、1本筋が通っているのはしっかり出したいな、と思って。それができるのは、きちんと家庭の部分が小比類巻も描かれているから」

殺伐とした事件のシーンが多い作中で、小比類巻の家での様子、娘と過ごす様子はホッと息がつけ、和める。

「プライベートの部分では1人の夫として、父親として、1人の人間としてナチュラルにいられるからこそ、仕事のときはピシッとできるという。『公』と『私』の演じ分けというのは、Season1から2を通してずっと一貫してやっている部分ですね」

公と私がしっかり分かれていたからこそ、事件が起こる中でその境界線が揺らいでいくさまは人間臭く、共感を呼ぶ。

「いい夫であり、いい父親であり、でもそれが現代社会の大多数から見ると普通ではない行動を取ってしまったり。小比類巻は、愛ゆえに妻を冷凍保存をするという選択をしているので。最終的にはその愛の深さゆえに、娘を守るためのアクションに繋がっていく。

でも最初に、明確に小比類巻の筋が通っている部分を作っておくほうが、あとでその境界線が見えなくなったり、崩れていくのがドラマチックになるな、と思いました」