背中を押してくれた盟友ふたりへの思い
――初演時の取材で三浦春馬さんが、シンディ・ローパーさんからいろんなアドバイスをいただいたことなど、お話ししてくださったことを覚えています。城田さんも、ブロードウェイのクリエイターの方々とすでに何かディスカッションをされたのでしょうか。
今回はそういったことはできていなくて、僕もコロナ禍じゃなかったらもちろんニューヨークまで行って、皆さんに会ったりしていたと思うけど。
僕も春馬からオーディションの話とか、そのあとのレッスンとか、怒られたり何されたとか(笑)って話は聞いていました。そうやって認められて、選ばれて、積み上げて来たんですよね。自分でも「ライフワークみたいな役にしたい」と語っていたし。その中で「いつか優君にもローラをやってほしい」って言ってくれて、ふたりでいろんなことを構想して盛り上がって……。だからこそ、僕は今回、胸を張ってやるしかないなって思うんです。
最初に話したように、「優君がやってくれるなら安心、嬉しいな」って言ってくれるだろうと、99%言い切れるから。とにかく、すべての方が笑顔で劇場から帰る、そんな作品にしなきゃいけないと思っていますね。作品の持つポジティブなエネルギーをしっかり出せるようにしたいなと思います。
――チャーリー役の小池徹平さんについて、共演への思いをお話しいただけますか?
僕にとっては本当に、ただの高校の同級生なんですよ(笑)。お互いに音楽が好きで、高校3年の時に一緒にギター弾いたり、コブクロのデュエットをしたり。僕が書いて彼に提供した歌詞があるんですけど、今でもそれを歌ってくれていたりするらしいです。
意外にこれまで、俳優としてほとんど共演したことがなくて。高校卒業して20年が経とうとしているなかで、ほぼ初めての共演です。だから信頼という意味においては、一番古い友達ですよね。
徹平ともふたりで食事をしながらキンキーの話をして、「優にやってほしいと思ってる」と言ってもらいました。腹を割って話せる20年来の友人から「優だったら絶対に出来るよ、優しかおらん!」って言ってもらえて、やっぱりすごく安心したし、そんな彼にちゃんと応えていきたいと思います。
――運命的なつながりも感じますね。
そうですよね。このタイミングで、徹平と一緒に舞台に立つことになるなんて。春馬が最も愛していた役であることは、僕が彼から話を聞いた限りでは間違いないし、それを自分が演じさせてもらうのは本当に感慨深いものがあります。
正直なところ、毎日、やりたい、いや、やりたくない、絶対成功させてやる、いや出来ない……って気持ちが揺れ動いていて(笑)。それはどの作品でも、僕の場合ミュージカルをやる時は必ずそうなるんです。でも今回ほどプレッシャーや、いろんな感情が渦巻いていることはないですね。
毎回「大変です! ヤバいです!」って言うけど、今回はそれとは違う、言葉にもできないし、言葉にしようとすると安っぽくなるというか……ニュアンスがおそらく伝わらない。伝わらないだろうからあまり言葉にしないようにしよう、って思うぐらいの気持ちでいます。
――作品のビジュアル写真がとても素敵です。ローラへの変身は大変だっただろうと推察しますが……。
メチャクチャ大変でしたし、本当はもっとキレイな感じのメイクだったんですよ(笑)。2時間くらいかけてメイクしてすごくキレイに仕上がったのに、「キレイ過ぎて少しドラァグクイーンとは違うかな」ってことになって、もう1回やり直しているんです。僕は正直、最初のほうがキレイだったのに……と思って(笑)。
キラキラの衣装を身につけると、やっぱりテンションが上がりますね。キンキーブーツを履いたら2メートルを超えます。僕も大変だけど、徹平も見上げるのに首が疲れて大変だと思う(笑)。
ヒールに慣れるのも必死ですね。歩いてみて痛くない、そのスタートに立つまでに何ヶ月もかかって。去年から準備して練習しているので、今は履いたまま1,2時間踊り続けることが可能になって、だいぶ成長しているなと。まだこれからさらに磨きをかけていきますよ。心も体も髪も……、もう坊主にしても眉毛を剃ってもいいし、なんでもやります!って感じです(笑)。