小池徹平×三浦春馬主演のブロードウェイミュージカル『Kinky Boots(キンキーブーツ)』が、2016年の初演以来、約3年ぶりに再演。

情報解禁とともに、前回観劇したファンはもちろん、惜しくも見られなかったというファンも今回こそは……と、チケットは瞬く間に完売。前回を上回る盛り上がりを見せている。

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  • この先もずっとこの二人がチャーリーとローラでありますように…

キンキーブーツから学んだこと…「自分が変われば世界も変わる」

『Kinky Boots』は、2005年に公開された同名のイギリス映画を元にミュージカル化。

2013年にトニー賞で最多となる13部門にノミネートされ、作品賞、主演男優賞(ビリー・ポーター/ローラ役)、オリジナル楽曲賞(シンディ・ローパー)、振付賞(ジェリー・ミッチェル)、編曲賞、音響デザイン賞の6部門を受賞。

日本では、音楽・演出・振付はブロードウェイ版そのままに、小池徹平や三浦春馬をはじめとする豪華メンバーが集結した。

本作は、経営不振に陥った老舗の靴工場の跡取り息子チャーリー(小池徹平)が、ドラァグクイーンのローラ(三浦春馬)に出会い、差別や偏見を捨て、ドラァグクイーン専門のブーツ工場として再生する過程を描いている。

老舗靴工場のサクセスストーリーと言ってしまえば、よくある作品。

だが、こんなにもエンターテインメント色の強い作品に仕上がっているのは、サクセスストーリーのカギとなる人物=ローラが、ドラァグクイーンであることは大きい。

派手な姿の裏に隠された真実、そこには理想と現実に挟まれながら葛藤してきた過去がある。

彼にとって一番の味方であるはずの父親との確執は、いつでも明るく、強く、前向きなローラの心に隠し切れない影を落としていた。

でも、人の弱さを知っているから、誰よりも強く、優しくもなれる。そんなローラが、テンポよくウィットに富んだセリフで、彼に関わる人々の心を動かしていく。

そして、一方のチャーリーもまた、父親の死、そしてローラとの出会いをきっかけに、自分の人生を自分の足で歩いていくことの本当の意味を知ることになる。

「あるがままの他人を受け入れろ」

これは、ローラに嫌悪感を持つ靴工場の従業員、ドン(勝矢)に、ボクシング対決で “わざと負けた”ローラが贈った言葉。

他人への思いやりに欠け、従業員のなかでも浮いた存在だったドンは、この言葉に、「自分が変われば世界も変わる」ということを知り、他人を受け入れる心を持ち始める。この言葉こそ、この作品の最も大切なメッセージだ。

すべてのものをあるがままに受け入れるのは難しい。だが、受け入れた先に見えるものもある。そこでの気づきや成長は大きいはず。

「あの人、苦手なタイプだけど一度きちんと話してみよう。そうすれば違う面も見えてくるかも」……そんな気を起こさせてくれる。