こちらから「聞いていかない」ことも大事
「我が家は一人っ子で男の子、小さい頃からわがままや甘えを許してきた自覚はあります。
一人っ子だからこそ『いつまでも親にべったりではいけない』と思い、小学1年生になってからはできる範囲で自分のことはやらせようとあれこれ仕向けてきました。
お友達と喧嘩をしたり先生に怒られたりして元気がないときは、私と一緒にゲームをやりたがりご飯では自分の好きなものをねだったりと、成長につれて甘え方が変わってきたのを感じます。
小さい頃は、何があったのか詳しく聞いていてそれが息子にも安心になるのはわかっていましたが、心が成長してくるとそれを口にするストレスがあるようで、私や夫に詳細を話す場面から逃げるようになりました。
つらそうなときは黙ってお茶をいれてあげるだけとか、そっとしています。
大きな問題だといけないのである程度は確認しますが、5年生あたりから自分で『こんなことがあって、こうなった』と物事を整理して報告するのを見て、この子なりに自立が進んでいるのだなと思いました。
何かあれば把握したいし悲しければ甘やかしてあげたいけれど、子どもが望まない限りは手を出さないのも親のつとめかなと思います。
中学生になってからは、甘えたいサインがあるときはしっかり受け止めて、それ以外では口うるさく確認しないように気をつけていますが、見守ってもらえる安心感も子どもにとっては大切ですよね」(45歳/営業)
中学生の息子さんがいるこちらのママは、「しつこく聞かない」ことを決めてから親子の関係が風通しの良いものになったと話します。
幼い頃は何でも「聞いて」とせがんできた子どもも、心が成長すれば事実と向き合う苦しみや葛藤を知り、それを親に知られることに抵抗を覚えるのは自立が進んでいる証です。
親に甘えたいのはどんなときなのか、「夕食に好物をねだるときは心を回復させたいサイン」と知り応えることも、子どもにとっては家庭でしか感じられない安心といえます。
やみくもに詳細を把握することだけが、親の愛情ではないのですね。
つらいときこそ甘やかしたい、それを子の気持ちを考えて手を差し伸べることができれば、親子の信頼は深まります。
こちらから「聞いていかないこと」は子どもの心を信じているから。それが伝わる甘やかし方を考えたいですね。
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男の子は甘えん坊とよく言われますが、親離れのタイミングは必ず訪れます。
年齢や環境の変化で対応を変えるママは多く、自立を促す良い区切りを考えることも重要です。
それが放置や突き放しではなく、愛情を持って見守る姿であることが、子どもにとっての良い甘やかし方ではないでしょうか。