「一番自分のことを信じてないのって自分だと思う。いまだに人前で歌うのも怖いし。でもさ……今ここで、全然完璧じゃないのにこうやって歌えて、演奏できるのは、そういうカッコ悪いやつだからなんじゃないかなって思う」――ライブ終盤、清水が切実な表情でオーディエンスに語りかける。
「あなたの人生を絶対に他人事だなんて思わないから。これからも、あなたに関係ある曲しかやりたくないから。それはイコール、俺たちに関係あるってことだから。生きていくのは簡単じゃないよ。バカにするやつもいるし。だけど、突っ張って、強がって、《人生は素晴らしい》って歌うんで。わかるところがあったら、一緒に歌ってください」
そんな清水のメッセージとともに披露された「ベルベットの詩」が、客席一面のコーラス合唱とハンドウェーブを巻き起こしていく。本編ラストの「スーパースターになったら」では銀テープのキャノン砲が客席に舞い、熱烈なクラップ&シンガロングの輪が広がる。「愛してるぞー!」の清水の万感の絶叫が、最高のライブの祝祭感を何より明快に物語っていた。
「俺たちじゃなくて、歌が優秀なだけです。なぜか俺たちのところに来てくれて、それを共有できて、本当に嬉しい。もっともっといい曲が書けるように、いいバンドになれるように努力して、また会いにくるんで」……
「添い寝チャンスは突然に」でアンコールをスタートさせた後、清水はそんな言葉とともに新たな決意を語っていた。「花束」に続けて、ツアーのフィナーレを飾ったのは「怪盗」。《君が想像した事ないくらい/眩しい世界を見せてあげる》というフレーズが、バンドのさらなる前進への意志そのもののように響いていた。