ワンダーウーマンには志がある

それまで失敗した女ヒーローは、結局男目線の、安直な企画だったのでしょう。でもワンダーウーマンには志があるのだと。

この志は戦争経験者であるマーストンならではのもの。

戦争は、世の面子としがらみに縛られ、追い詰められたる男たちが起こしたものであり、だからこそ女性が自由に生きられれば、そして人が愛に目覚めれば戦争はなくなるんだ、という平和への願いだったのです。

正直、本作で描かれたマーストンの考えはいまいちよくわからないところもあるし、僕の大好きなワンダーウーマンがこんなドロドロした背景から生まれた、と信じたくない気持ちも少しあるのですが(笑)、マーストンが女性の強さと善良さを信じワンダーウーマンが誕生した、というところはキチンとおさえられている。

なによりもワンダーウーマンへのリスペクトがちゃんとあって、心に残る作品でした。

ヒロインがワンダーウーマンのブレスレットを思わせる腕輪をしていたり、また透明飛行機(コミックでワンダーウーマンが乗る)がさりげなく出てきたりと、ワンダーウーマン・ファンを喜ばせるシーンもあります。

アメコミ好きならぜひ観ていただきたい作品です。

杉山 すぴ豊●すぎやま すぴ ゆたか。アメキャラ系ライターの肩書でアメコミ映画に関するニュースやコラムを様々な媒体や劇場パンフレットで執筆。東京コミコン他アメコミ映画系のイベントのMCも担当。来日したエマ・ストーンに”日本のスパイダーマンね”と言われたことが自慢。映画「サラリーマンNEO 劇場版(笑)」「金メダル男」になぜかカメオ出演。最近の執筆:「Pen+ DC最強読本。」