海外はリアリティ重視、嘘がないように演じる難しさ
福士蒼汰が演じているのは、優秀なコンピューター・エンジニアのユウト・ナカムラ。Season1から続投する、天才生物学者アーサー・ワイルド(ジョン・リンチ)の依頼を秘密裏に手伝う役柄だ。
「ユウトはコンピューターに精通している青年で、白黒問わず、さまざまな仕事を受けながら大金を稼いで休む、というようなキャラクターです。明るい性格で、普段はビデオゲームをしている設定もある彼が、リアルにデスゲームのような環境に追い込まれたらどうなるか、ということを監督やアクティングコーチらと話しながら役を作っていきました。
ユウトはロジカルな思考の持ち主なので、誰かが殺されたら犯人はこういう面があるのかもしれない、こんな理由で可能性があるのはこのメンバーだ、と論理的に考える人だと、演じていて思いました。ずっと恐怖に怯えていたり、暴力的になったりする登場人物がいる中、ユウトはいつも冷静でいる印象です」
太平洋を航海中の巨大貨物船で首のない死体が発見され、隔絶された場所で逃げ場もなく動揺する研究員や乗組員たちを前に、その様子を観察するユウト。海外作品で芝居をするなかで、ユウト役を演じるにあたって、苦労したこともあったようだ。
「今回の作品を通して日本と違うかなと感じたことは、そのキャラクターにリアリティを求めるか、求めないか。日本はリアリティより、どちらかというと少し誇張したわかりやすいお芝居を要求されることもあるのですが、海外ではとにかくリアリティ重視なので、役作りをするうえで嘘がないように演じないといけない難しさがありました。
アクティングコーチとセッションして、いろいろなアプローチの仕方を教えてもらいました。たとえば、部屋の鍵を見つけてください、警備員役が見回りに来るので絶対にバレないように探してください、というお題のレッスンを受けました。リアル脱出ゲームのように恐怖を感じるアクティングレッスンをさせていただき、あまり日本にはないアプローチだと思いましたし、演じるうえでもその体験に助けられました」
役への新鮮なアプローチを重ねて、ユウトが形作られ、福士なりにプラスしたニュアンスもあったと言う。
「日本人のアイデンティティとして、僕にしかできない表現を自由に入れてほしい、と言われていました。1話でパソコンに向かってひとりごとを言うシーンでは、あえてユウトが日本語でつぶやいていますし、監督からの感情的になっているシーンだから日本語のほうがいいのではという提案を受けて、日本語で話している場面もあります」