興味を持つことから自然としゃべれるように
――島田は水島とうまく距離を縮めていきますが、藤原さんが人との距離を縮めるときに意識していることはありますか。
相手が役者の方の場合は、僕が未熟ということもあり、いろいろ興味を持って聞くようにします。というか、必然と興味を持ってしまいます。「この作品観ました。あの時ってどんな感じだったんですか?」とか。皆さん、優しいので教えてくださいます。
そうすると逆に「歌って踊ってお芝居もして、いつ寝てるの?」とかって聞いてきてくださるので、「普通に寝てます(笑)」って返したり。そうやって興味を持つことから自然としゃべれるようになります。
――共演者の方について事前に調べることもありますか。
プロフィールとかですけど。歳が近いかとか、「このドラマに出てた人や」とか。あと、今回で言うと、共演シーンもなく、完成披露試写会などのイベントでもまだお会いできていないんですけど、リリー・フランキーさん(水島とみゆきが出会う喫茶店のマスター・田宮役)と同じ作品に出演できたことがうれしくて。
お会いしたら絶対に「『おでんくん』(リリー・フランキーの著書)大好きです」って言いたいです。『おでんくん』の中のシーンにある東京タワーをバックにおでんを食べるというのが、僕がまだ東京で叶えられていない夢なんです。もしお会いできたらそれを伝えたいです。
――藤原さんはどんな人と距離を詰めたいと思うことが多いですか。
年上の方とお話をするのが好きです。僕よりはるかに経験豊富で、時代と共にいろいろ変わっていくこともありますけど、そういう様子を聞けるのも好きです。
――藤原さんは「アナログ派」「デジタル派」はどちらですか。
スマホは手放せないですね。一つボタンを押せば情報収集できるので。でも時と場合によるとは思います。
時代が進化して、今、手をかざすだけで蓋が開くゴミ箱とかも出てきてるじゃないですか。数年後にはそれが当たり前になるかもしれないんですけど、僕は「このままでもいいんじゃないかな?」と思うものも多いですね。
本とか漫画はデジタルでは見ないですし。紙を1ページずつめくるのが好きで、印刷された紙の独特の匂いも好きです。
台本も今はタブレットで見る方もいますけど、僕は、覚えるときは紙に書き込みたいです。タブレットでも書き込みはできますけど、なんか書いた感がない。あとシャーペンではなくて、鉛筆で書くのが好きなんです。けど、家に鉛筆削りがないので、カッターで角を一辺ずつ削っていきます。それも楽しいんですよ。
――劇中で描かれる携帯電話を使わない待ち合わせやデートについてはどう思いましたか。
オシャレだなとは思います。でも怖いですよね。すれ違ったらどうしようとか。ただ昔はなかったから、映画を観てくださる方の年齢によっては「こういうこと、昔あったな」と思い出すこともあると思うんです。自分の人生と照らし合わせながら「いいな」と思ってもらえるといいですね。
今は「電車1本遅れた」って携帯でメッセージを送れば済む話だけど、それを敢えてこの時代にしないのが、この『アナログ』の話なわけで。携帯で連絡をしなくても心が通じ合っていればいつか会えるというのは、素敵な恋愛だなと思いました。
――水島とみゆきのデートシーンがいくつか出てきますが、憧れるシチュエーションはありましたか。
焼き鳥屋とかの大衆居酒屋での雰囲気はいいなと思いました。フォークとナイフを使って小さな一口で食べるようなものより、僕はお互いに気を遣わず、わちゃわちゃできるのがいいですね。隣の人の会話も聞こえちゃうような。僕はそういうデートが理想です。僕自身、普段プライベートでご飯に行くときも飾らない店に行くことのほうが多いです。
――糸電話を使ったデートなどもありましたが。
あれが自然とできたらカッコいいですよね。僕だったらめっちゃ考えてしまうかも(笑)。職業柄、どのタイミングで出そうかとか、周りに意外と子どもが多いなとかを気にして、下見もしちゃうかもしれない。
非日常なんだけど、日常感もあって。糸電話は家にあるもので作れますから、あの場面は見ていて心が温まりました。