観るときには吸水性の高いタオルのご用意を
目の演技に関連することでもあるけど、ミョンフンの寡黙なキャラクターという特性上、彼が発する一言に重みがあるのも注目したい。この記事の冒頭のセリフもそれだ。ミョンフンという人間を形成する要素がそこにみえる。
心にズキッと来る言葉が随所にちりばめられていて、ボディブローのように効いてくる。ハンカチどころか、タオルが必要だ。
妹のために、悲しき殺人兵器となってしまったミョンフン。誰とも深く関わらないでおこうとする姿は未来ある若者の姿には程遠い。
妹ヘインを思う気持ちや同じ年頃のヘインへのやさしさ、屋台のおばあちゃん(スパイ仲間)との関係でみえる、あどけない姿が本当のミョンフンだから、そこもじっくり観て欲しい。加えて、出てくる小物(アイテム)もしっかり覚えておいて欲しい。
T.O.Pは、過酷な運命を背負ったこのキャラクターの「明」と「暗」を見事に演じきったと思う。
観終えた後にきっとやりきれなさを感じるかもしれない。劇中の言葉を借りるなら“若造”である、わずか19歳の少年さえも、権力抗争の“捨て駒”にしてしまう、かの国の非情さに怒りも覚えた。(フィクションだけども)
でも、それよりも心に残るのは、学生服に身を包み、リュックを背負って通学路をパタパタと走ったり、食べ物を口いっぱいに頬張ったりする年相応のあどけない少年の姿だった。(激しい“萌え”もくれるよ)
実は、この原稿を書きながら、思い出すだけでも込み上げてくるもんだから困ったもんだ。
『同窓生』2014年1月25日(土)より全国ロードショー
キャスト:T.O.P(from BIGBANG)/ハン・イェリ/ユン・ジェムン/チョ・ソンハ/キム・ユジョン
脚本:キム・スヨン
監督:パク・ホンス『私の妻のすべて』『高地戦』『義兄弟』
2013年/韓国/114分/シネスコ/5.1ch/字幕翻訳:李 静華
配給:エイベックス・エンタテインメント
公式サイト:https://dousousei.jp/