ライブで化けた!『The Future』の衝撃

SMAPのコンサートは、泣く子も黙るザッツ・エンタテインメントです。コントあり、ダンスあり、最新技術を駆使した演出あり。そしてこれでもかと披露されるヒットナンバーの数々に、ときに歓声を上げ、ときに手を掲げ、圧倒的な一体感のなかで観るものはそれぞれの想いを重ねて、ひと時の夢の世界を楽しみます。そこによけいな押し付けがましさや、暑苦しいメッセージは皆無。何をどう受け取るか、彼らのライブはどこまでも自由な空間です。

今回のライブで、そんな鉄壁のエンタメ空間の壁にヒビが入った瞬間がありました。それが最新アルバムに収録されている楽曲『The Future』です。

 

LEO今井による歌詞のテーマはその名の通り“未来”。常に前進しつづけるSMAPのアティチュードをストレートに表現しているようにも読めます。しかしよく読むと、ただ前向きなんじゃなくて、いつになくシリアスな雰囲気を持っています。

まず最初のワンフレーズからして<サイレンを鳴らせ>です。サイレン、つまり警報。この曲はSMAPから未来から目を背けるわたしたちへの警告のメッセージとも取れます。

さらに<急がなくちゃ><進まなくちゃ>と、どこか性急さを感じさせるフレーズも。これまでにもSMAPには、メッセージソングと呼べる楽曲は多くあります。しかしこの曲の持つシリアスさは異色と言ってよいと思います。

さらにこの曲、いわゆるSMAPライブでは若干ノリにくいと思うのです。BPMがかなり早いのでペンライトを振ろうとしてもちょっと疲れるし、身体でリズムを刻もうとしてもいわゆるJ-POP的ノリは難しい。曲自体が観客のアクションによって一体感を生みづらい構造になっているのです。

 

では実際コンサートではどうなったか。結果から言うと、『The Future』はライブで大きく化けました。ナカコーこと中村弘二の浮遊感あふれるエレクトロサウンドと、5人の<RIDE IT>のリフレインがドーム中に満ちたとき、めちゃめちゃストレンジかつ刺激的な音楽空間が生まれたのです。

楽曲のクオリティの高さとともに、この曲を5万人レベルのエンタメショーで成立させてしまうSMAPの底力にもあらためて驚かされました。

これまでにも数々の名曲・個性派楽曲を歌ってきたSMAPですが、メッセージ・サウンド・世界観などあらゆる面において、このツアーでの『The Future』は突出したラジカル性を放っていました。こういうラジカルさをも飲み込んでしまうのが、いまのSMAPのすごさだと思います。