あしぇった(※焦った)ところで何が変わるの?

――そこに対しての焦りはありますか。

メサイア:あしぇった(※焦った)ところで何が変わるの? 時代の波は変わらないから。今、僕たちは求められてない、と。過激な動画をやったら、もしかしたら戻るんかも知らんけど……。

――それは今の禁断ボーイズのやりたいことではない、と。

メサイア:やりたいことでもないし、正直本当に求められているのかな? って思いますね。今は立て直し段階なんですにょ。

いっくん:僕もメサイアと同じで「ああ、その反応になるよね」って感じです。

予想外の反応があまりなかった。意外といえば、「こんな俺らでも”面白い”と言ってくれる人もおるんや」とは思いましたけど。

それに、「過激な禁断ボーイズに戻って欲しい」というけど、「”過激な禁断ボーイズ”って具体的に詳しく言って」って言うと、多分、ほとんどの人がきちんと答えられないと思うんです。

僕が考えるに、皆本当は「過激なもの」じゃなくて、「今までに見たことのないもの」を求めている。

人間って刺激を感じるから、そういうものを見ると「楽しい、面白い」という感情が湧くじゃないですか。

昔の禁断ボーイズは毎日「見たことないもの」を配信していて、安定して面白い、ある種の中毒性があった。それが活動再開後、そうじゃなくなったから、「昔の方が良かった」っていう反応が出てくるんじゃないかな。

活動再開後、これまでとは違った方向に進んだ理由

――活動再開後、これまでとは違った方向に進んだ理由は?

『NETSTAR~再生回数の向こう側~』

いっくん:過激で斬新な動画を作ろうと思ったら、今でも作れると思うんです。

でも、あの頃はすごく無理をして作っていたところもあったんです。

ああいう動画は僕が主導して作っていたので、無理して作っちゃうと、どんどん追い込まれていくし、僕はリーダーでもあるので、チーム全体の判断をしないといけないのに、「明日の動画、完璧な動画を」とプレッシャーがのしかかってくると、動画以外の判断も誤ってしまって、やってはいけないことをやってしまう。

その結果が活動休止だったから、その未熟さを一旦認めて、今は色々なタイプの動画を作っているという感じです。

ファンの存在について

――なるほど。

いっくん:「ファンの存在ってなんだろう」と考えた時に、極端な話、世の中に俺らが動画を出さなくなったとしても、迷惑がかかったり、不幸になったりする人って、いないと思うんです。

ただ、ファンの人たちは、多かれ少なかれ時間を使ってくれるし、お金を使ってイベントに来てくれたりする。

そういうことを壊してしまうのが、僕の中で1番怖いことなんです。

炎上して、活動休止して、それを壊してしまった経験がある。

休止中に本当は参加するはずだったイベントに欠席して、その辛さは今でも噛み締めているし、申し訳ないと思っている。

いくら反省しても、それだけではファンの人には伝わらないし、次から絶対そういう状況にならないようにする、それが僕の反省であって、示しなんですよね。

――その想いが今の活動に繋がっていると。

いっくん:だから、昔みたいな動画を出し続けることは、捨てました。それを皆が求めているのは重々承知です。

ただ、僕たちは1番やってはいけないことをやらないために、今は基盤を固めているんです。

だから、「戻りたい」という気持ちは一切無いし、「戻って欲しい」と言うのは違うかな、と思う。結局、過去を追ったら、過去を越えることはできないし、「戻る」のではなくて、「進化」するというか。

「日本一のYouTuberになりたい」

――兼ねてから公言していますし、映画の中でも「日本一のYouTuberになりたい」という発言が出てきます。その夢は今も変わらず?

いっくん:もちろん、今でも日本一のYouTuberになりたいと思っています。

あの頃の禁断ボーイズ以上の動画を作って行きたいし、今は高く飛ぶために、しゃがんでいる時期なのかな。

ただ、これだけ自覚しているのに、いざ「戻って」という声を聴くと、焦るし、怖くなることもあります。

でもそこは、しっかりとメンバーにも相談して、「どうしよう」「まだやな」とちゃんと相談して、無理をしないようにしています。

ファンの人に対しての感謝もこもっている映画

――そして、本作はファンの人に対しての感謝もこもっている映画ですよね。

メサイア:そらぁもう! ホントに、そもそもファンがいないと成り立たないんで。

今残ってくれているファンの人たちは、我々はYouTubeを辞めるまで、ファンでいてくれると思う。

そのくらい、熱い想いを持ってくれている。しょういう(※そういう)、ファンがいるのは大切なこと。

有名になったり、チヤホヤされたりすると、どうしても感謝が薄くなってきて、「いて当たり前」になってくる。去年の活動休止前の我々は、多分そうだった。

逆に今年は、当たり前だけど大切なファンがいてくれることに気づかされたんで、今回の映画は良かったと思います。真面目メサイアでしゅしゅ!

モーリー:普段はファンの人のことは、動画のコメントを通してしか知らないじゃないですか。

じゃあどういう人が見てるんやろなって思うんですけど、イベントで交流するときは、色々な声が生で聞けるんで、モチベーションに繋がります。いつも「ありがたいな」って思います。

田中:僕は他の3人と違って、誰かのバンドやアイドルにハマった事があるとか、全く無いんです。

だから「ファン心理」については、わからないことも多いんです。

でも、どんなイベントでも、たまに疲れた顔はするかもしれないけど、俺は全力でやっているつもり。

ファンには感謝していますし。だからこそ、こういう状況になっても来てくれるファンは、感謝というか、言葉では表現できないくらい、ありがたい存在です。

ここまで来ると、ファンがくれているものは「愛」じゃないですか。

だからこそ、「このままじゃダメだな」と思うんです。上っ面だけの動画、上っ面だけの人間性でいたくない。濃いファンを引きつける存在になりたいですね。