ドタバタ劇が繰り広げられるラブコメではあるけれど、実は、根底にあるのは“母への感謝”だ。そして、“老い”という避けられないテーマも。明るい笑いの中に、重いテーマが盛り込まれ、悲しい現実をつきつけてくる。セリフの一つひとつに重みがあり、特に終盤ではホロリとくる場面がいくつもあってギュッと胸を締め付けられるはず。
また、音楽もひとつのキーになっていて、モンジュンの自己犠牲の人生が、テレサ(ズーシャンが実際に歌唱)の歌う曲の中で回想される他、作品を通して“音楽のチカラ”を感じることができる。『怪しい彼女』の主題歌『もう一度』がそうだったように、『One More Day』も歌詞が物語にリンクしていて切なく、ヤン・ズーシャンとルハン、どちらのバージョンにもホロリ。ぜひ、歌詞をかみ締めながら聴いてほしいと思う。
最後にもうひとつ。交わされる言葉の中で、作品は観る者にも問いかけてくる。
“人生をやり直せるならどう生きる?”
テレサ(モンジュン)の答えは、清清しい言葉だった。
あなたなら、どうする?
『20歳よ、もう一度』
ストーリー:頑固なおばあちゃんモンジュン(グァ・アーレイ)はプロのバンドを目指す孫チェンチン(ルハン)と大学教授の息子に甘いが、ほかの家族から疎まれるほど口うるさい。やがて、ストレスで息子の嫁が入院すると、家族会議で老人ホームへ入れられる話が持ち上がる。ショックを受け、街でたたずむモンジュンは目にした写真館に惹きつけられる。
「一番綺麗だった頃を思って」と写真を撮られると、なんと20歳の麗しき姿の自分がいた。最初は戸惑いを隠せないモンジュンだったが、もう一度青春を取り戻すことを決意し、名前をテレサ(ヤン・ズーシャン)と変え、かつて叶えられなかった歌手という夢を実現するため新たな生活を始めるが…。
監督:レスト・チェン『花蓮の夏』
出演:ヤン・ズーシャン、グァ・アーレイ、チェン・ボーリン、ルハン
配給:CJ Entertainment Japan
公式サイト:20again-movie.jp
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