9話

「俺がそばにいてやっから」(第9話)

何者かに命をねらわれ、おびえている雨宮を自分の部屋に泊めた久利生が言ったひと言。こんなことを言われたら女性なら胸キュンもの。しかし、雨宮は即寝で聞いていなかった。と思ったら、のちにしっかり聞いていたことが明らかに。きっと雨宮はキュンとしながらも、どう反応していいのか分からなかったのだろう。

その後、安心したのか雨宮は久利生の方に頭をもたげてぐっすりとお休みを。第5話で旅館に相部屋したときは警戒しまくっていた時から比べると雨宮の久利生への気持ちがかなり進展していることが分かる。

「俺たちホントによく恨まれるんですよ。弁護士さんが躍起になって被疑者のこと守るじゃないですか。そうしたら、検察官っていうのは、犯罪の証拠を徹底的に挙げますから。じゃないとね、裁判官が正しい判断ができないんですよ。やっぱり、無実の人間を起訴したくありませんから。だから真実を知るためだったら、絶対に手は抜きません。(中略)

これは勝手な言い方になっちゃうかもしれませんけど…機械が裁いてるワケじゃないですからね。やっぱり、人間を裁くことができるのは、人間だけじゃないですかね」(第9話)

人が人を裁くことの難しさを知っている久利生。だからこそ彼は、大きい小さいに関係なく、どんな案件でも納得いくまで疑問に思ったことを調べていくのだ。間違いを起こさないために。

10話

「俺たちみたいな仕事ってな、人の命奪おうと思ったら、簡単に奪えんだよ! あんたら警察も、俺たち検察も、そしてマスコミも。これっぽっちの保身の気持ちでな、ちょっと気ぃ弛めただけで、人を簡単に殺せんだよ! 俺らはそういうこと忘れちゃいけないんじゃないですか?」(第10話)

保身のために無実の青年に濡れ衣を着せて死なせてしまった矢口刑事(梅沢富美男)に怒りをぶつける久利生。シリーズ中でも久利生がこの時のように感情を爆発させたのは数少なく、それだけに彼の怒りの度合いの激しさがうかがえる。

権力を持つ人間が正義を守るために行動しているうちに、“自分こそが正義”だと思ってしまうようになったら…。インターネット、SNSの普及で、“正義”の名の下に匿名という隠れ蓑でいとも簡単に人を傷つけてしまえるようになった今、この久利生の言葉はもはや誰にでも当てはまるものかもしれない。むしろ当時よりも現代のほうがより響いてくる言葉だ。

11話

「先生って、ニューリーダーって呼ばれてるんですよね? 全然ニューじゃないっすよ。(中略)
俺、思うんですけど。あなたがまずやらなきゃいけないのは、500万の香典を持っていかせることじゃないんじゃないですか? その子に父親のことを語ってやることじゃないんですか? 申し訳ないって、頭を下げることじゃないんですかね。
んなことも分かってないのに、国の将来語ってんじゃねえよ」(第11話)

国の将来のために殺人事件の現場にいたことを証言できないという将来の総理大臣とも言われる政治家・諸星(三浦友和)。政治革命を謳っていても、結局は自分たちのために行動している。そんな諸星に対して発した怒りの言葉。彼のこの言葉に諸星は「俺は政治の話をし、彼は人間の話をした」と。このあと真の政治家としての行動をとる。

「ブー。違います。だって、将来の総理大臣守ってんだぞ。ヒーローはお前のオヤジだろ」(第11話)

父の死の真相を突き止めてくれた久利生に「ボクのヒーローだ」と言ってきた少年にかけた久利生の温かい言葉。こんなところからも彼の人柄がしのばれる。この久利生の言葉で、きっとこの少年はこれからもずっと父のことを誇りに思って生きていけるだろう。

「そんな怒んなよ。最後なんだから」(第11話)

城西支部での仕事を終え、石垣支部へ異動することになった久利生が雨宮と最後のやりとりを交わす。そのやりとりは端から見れば恋人同士のケンカのようにも見える。のちに雨宮は久利生に会いに石垣島へ。ふたりの関係は劇場版第1作、そして第2作へと続いていく。