・親が意識したいこと
ある意味で「子どもの行動改善を期待することを親が諦めること」です。それよりも「子どもを変えるのではなく、周りの大人の対応を変える」ことです。
例えば、病院の待合室でじっと座っていることが難しい場合は
- あと何分で診察の順番が回ってくるか確認して、その時刻に戻ってくる
- 20分集中できないのならば、10分ごとに気分転換で外に連れ出し、新たな10分の落ち着ける時間を設ける
- ゲームでも図鑑でもいい子どもが強い興味を持っている玩具を持っていく
- できるだけじっとしていなくてはならない場所には連れて行かない
- 子どもコーナーがある病院に連れて行く
・大人の注意欠如/多動性障害(AD/HD)
たとえAD/HDであっても人生経験を積んで社会性が付いてくると子ども時代の落ち着きのなさはだんだん影を潜めてきます。レストランでウロウロしたり、順番を待てずに泣き叫んだりする人はいないですよね。
けれども、それは見た目落ち着いているように見えても、次のような形で残っています。
- 提出物をなくす
- 忘れ物がひどく多い
- 優先順位がつけられずあちこちに手を出す
- 約束や決まりごとを守れない。忘れる
- 時間管理が出来ない。ルーズである
- 注意するとすぐにカッとなって興奮する
- 刺激を求める傾向がある
- 片付け・整理整頓が出来ず物が散乱している
子ども時代に興味の対象があちらこちらに行き椅子に座っていられなかった子どもが大人になったとき、気が散りやすい特性のため、何かをしているときに、ふっと別のことを思い出し手に持っていたものをポイッとその辺に置いてしまいます。
こうして部屋がゴミ屋敷化していくことがあるそうです。片付けの段取りをすることが苦手だからです。
・どうすればいいのか
苦手を克服することはかなりハードルが高いです。自らの努力で何とかなるならばよいのですが、そうでないので苦労します。
こんな時はそれが得意な人にお願いするのが良い方法です。
家族の中で掃除や整理整頓が得意な人がいればその人に役割を振る、お金に余裕があれば家事代行業者に週1回でも入ってもらい綺麗を保つという方法もあります。
・新たな苦悩にさらされないために
一番まずいケースは幼い頃からその障害に気づかれず「お前には向上心がないんだ、気合や努力が足りないだ」と叱られ続けられたケースです。
こうして否定されて育てられたことにより低いセルフイメージがついてしまい、自己有用感や自己肯定感が付かなくなってしまいます。
そうなると生まれつきの脳の障害(=一次障害)に加え情緒的なこじれを起こし、鬱などの二次的な問題に発展してしまうこともあります。
職業選択も緻密なことができないのに経理などのデスクワークについてしまって叱責を受け、職を転々とすることもあります。
衝動性を積極性ととらえると素晴らしい行動力はあるのですから、デスクワークよりも営業職についた方が力を発揮するかもしれません。自分の特性を知り、その上で職業選択するのが良いですね。
原因に応じた対応をすることがポイント
親のしつけの基準が高すぎて心配しすぎなのか、親のしつけのハードルが低すぎてほったらかしにしてしつけが出来ていないためなのか、それとも生まれつきの脳の機能障害なのかよく見極めて、原因の応じた対処をしていきましょう。