レース前の心の持ちようや、レース中のペース配分など、専門的な指南があるのかと思っていましたが、同書を開いてみて驚きました。青山さんは「マラソン完走は“歩くが勝ち”」と持論を展開しているのです。


歩く?

 

いや、歩くじゃなくて走りたいんですけど……マラソンなんで。

 

ということで、まず「完走」について考えてみます。

 

実はこの完走の定義というものは人によって異なります。歩かずに走りきることを完走とする人もいますし、歩いてでも制限時間内にゴールに到着することを完走とする人もいます。

青山さんの場合、初心者を指導する際には後者を完走と位置づけているようです。走ってでも歩いてでも良いので前に進み、しっかり時間内にゴールするのです。

マラソンを始めると、レース中に止まることや歩くことはダメなことと認識されがちですが、それは考えすぎなのかもしれません。特に初めてレースに出るかたは、まわりのペースに合わせてしまい、特にスタート直後は不必要にハイペースで走ってしまいます。昔、運動経験がある人ほど、過信してハイペースで走ってしまいますよね。

ただ、そのままのハイペースで走り続けることはできないので、どこかでペースダウンをすることに。そして、回復したら、またハイペースに。この走り方はとても燃費の悪いもの。

そこで青山さんは、「ペースをゆっくり走って速く歩くに変えてみましょう」と提案しているようです。走るときはゆっくり、そして疲れだしたら歩くことを認め、しかし、その際は「早歩き」でつなぐのです。じきに体力が回復するので、そこからまたゆっくり走り出す。これを繰り返すことで効率的に前に進もうというのです。