「死なせない育児」の効果の持続性

――それにしても、「死なせない育児」とはすごくインパクトのあるネーミングですよね。そもそも、どのようにして「死なせない育児」は生まれたのでしょうか。

ボ「夫の両親と別居した後に、下の双子の妊娠がわかったのですが、産後、大変になることは目に見えているじゃないですか。夫はその頃、超多忙、出張続きで、とても私ひとりでは無理だと話して、また同居しようかという話にもなったんです。

でもせっかく別居して両親との関係が良好になったのに、また同居はありえないと思って、それがきっかけで子育ての仕方を変えました。無理せず、ひとりで乗り切るための方法を考えたのが、今の“死なせない育児”です(笑)」

――今、「ピンチはチャンス」という言葉が頭に浮かんだのですが(笑)。

ボ「まさにそんな感じです。このピンチを切り抜けないと、という危機感はありました」

――なんでも自分でやるというわけではなく、時には人に甘えることも大事だと本に書かれています。その結果、抱え込む前にお義母様にも頼れるようになって、逆に距離が縮まったのですよね。お義母様は、今回の出版に関して、なにか言われていますか?

ボ「すぐに本を買ってくれて、感想がLINEで来ました。同居していたときに、●●ちゃん(ボンベイさんの本名)の気持ちに気づいてあげられなくてごめんねって。今は好きなことをみつけられてよかったね、とも言ってくれました。泣きました。

同居していたときは、ケンカしたり、家出したり、本当にいろいろあったので・・・、それを乗り越えたから、今があるのだと思っています」

――よかったです~。

ボ「自分が楽をしたり楽しく過ごすことに、すごく罪悪感を抱いている方は多いと思うんですが、自分が楽することで、子どもがめちゃめちゃ何倍もかわいく見えてくるから、勇気を出してやってみてと言いたいです。

お母さんたちが勇気を出したことで子どもたちが変わって、将来社会が変わっていくのだと思います。

だから、今のお母さんたちはがんばりどきです。子どものためにも勇気を出して、社会変えていこうぜって思います」

――子どもが小さいときだけじゃなくて、10代、大人になって、本当にしんどいときに踏ん張れるかどうかは、自分が子どもの頃、どれだけ受け入れられて愛されていたかにかかっているわけですよね。日本は、若者の自殺者の数がすごく多いと聞きます。

だから今、母親が楽することが、子どもの将来の力に影響するという意味を持つ「死なせない育児」というのは深い言葉だと思います。

ボ「大きくなったときに子どもの心を強くするために、おかあさんは楽して、いっぱい愛情かけてあげたいですよね」

――愛されたかどうかが、子どもへのいちばんの形のないプレゼントですね。

ボ「ほんとにそう思います」

――最後に、今後の野望があればお聞かせください。

ボ「SNSは趣味でやっていましたが、本の出版をきっかけに、世の中のお母さんや女性の生き方を変えていくことを仕事にしていく覚悟ができてきました。“令和の女性の生き方を変えた人たち”のひとりに入りたいくらい(笑)」

――ひとりのママから始まったことというのが、とても新しいし、希望を感じます。本日はどうもありがとうございました。

ボンベイさんは、今回の出版で得た初版の印税を、すべて子育て支援団体に寄付されるそうです。

彼女のツイッターのプロフィール欄には、子育てをしている人すべて向けた「みんな同志だよな、一緒にがんばろ」という言葉があります。彼女の熱い想いが伝わってくる一冊、ぜひ手の届くところに置いて、ことあるごとにめくってみてくださいね。

【取材協力】ボンベイ

5歳の長女と2歳の次女と三女の双子の子育てに奮闘する働くママ。「死なせない」を最重要ミッションに掲げ、無理をしない、つらくない、ママも幸せになる家事育児の方法をSNSで発信している。(ツイッター @HUTACHAN_twins)
その投稿が子育てに悩むお母さんたちの共感を呼び、インスタグラム(@bonbei_twinslife)は2か月でフォロワーが4万人以上増加。現在も精力的に子どもとの暮らしについての情報発信を続けている。