ところで、この富士山の3776mは、ずっと昔から3776mだったのでしょうか。
大変興味深い資料が書籍『富士山の謎と奇談』で紹介されています。

外国人として初めて富士山に登頂したイギリス公使オールコック氏(1860年)。
付きそったロビンソン氏が測量したところ、富士山の最高峰は4321mとなったそう。その差、約600mと、現在とは随分と違う数字が出されています。

オールコック氏の50年ほど前に伊能忠敬氏による平地からの三角測量と思われる数字が残されています。
しかし、そこでも3982mとされており、206mの差がありました。

その後も、二宮敬作氏が3794.5mと測量し(1828年)、フランス人のレピシェー氏が3518mと算出。
また、東大教授のメンデンホール氏と学生らが山頂実測してようやく現在のものに近い3778mとはじき出したのが1880年。富士山の標高算出に非常に苦労した過去があるのです。

富士山の高さをとっても、一体何mあるのかと算出するにも一苦労。
一筋縄でいかないのが、この山の魅力と言えるでしょう。だからこそ、登った人に強く印象を残すことができ、魅力的に映るのです。
4321mであっても、3776mであっても、登頂経験者からすると高さに変わらず苦労されたでしょうし、また感動もしたかと思います。