では、ランニング中の水分補給に何を取ればよいのか。すぐに思い浮かぶのは、水・スポーツドリンクなどでしょう。レース中の給水所でも、必ずと言ってよいほど用意されている飲み物。まずは、この2つについて私なりに考察してみます。

水による水分補給

体内の水分を補うわけですから、確かに水は補給として適しているでしょう。ただし、ここで気を付けたいことが1つ。汗をかいた際には、水分と一緒に塩分も体外へと排出されています。この状態で水ばかり飲んでしまうと、体内の塩分濃度が下がってしまう結果に。“水中毒”という症状に代表されるように、むしろコンディションを下げてしまう可能性があるのです。

スポーツドリンクによる水分補給

スポーツドリンクは、塩分を含めた各種栄養素が配合された機能性の高い飲料。水での注意点は回避することができるでしょう。しかし、ここで浮上するのが糖分の問題。走っている最中、ランナーはやや低血糖の状態になっています。これが行き過ぎれば走れなくなってしまうので、「糖分の補給は必要」と考えるかもしれません。

しかし低血糖の状態からいきなり多量の糖分(その中でも砂糖、ブドウ糖など)を摂取すると、急激に血中の糖分濃度が上昇。これを抑えるべく“インスリン”が分泌されるのですが、この作用によって糖分濃度はかえって低下し、低血糖状態を招いしてしまうと言われます。

とにかく、何でも飲み過ぎは注意!喉が乾くとがぶ飲みしたくなる気持ちは分かりますが、バランスが大切と言えるでしょう。私は以前ハンガーノック(=低血糖)に陥ったことがありますが、その際は先に挙げた“糖分の摂り過ぎ”ではなく、むしろ摂取量が少なかったことに原因が。それならば、スポーツドリンクによる糖分補給はプラスに働きます。身体は、自分が思っているより非常にデリケートなのです。

私の場合、フルマラソンまでのレース中は水とスポーツドリンクを交互に取っています。基本的には毎回、もしくは1回置きに補給し、そのほとんどは全て飲み干しません。“少量をこまめに”飲むことで、体内の状態が急激を変化させないよう配慮しているのです。お陰さまで、マラソン中に喉の渇きを感じたり、低血糖でパワーが出なくなったりするようなことは無くなりました。

ただし、ウルトラマラソンでは少し違ってきます。ほとんどの給水所で補給することは変わりませんが、10〜15km毎くらいに塩を舐めます。加えて、疲れが溜まってきたときにはリフレッシュする意味合いも込めて、コーラを飲むことも少なくありません。何が正しい…とは言い切れませんが、自分に合った給水法を見つけることは、ランニングを楽しむうえで重要なポイントと言えそうです。