個性派揃いの1~2新年生

まず、新1年生として登場した新キャラ・新開悠人(しんかいゆうと)役に飯山裕太さん。彼は言わずと知れた“箱根の直線鬼”と恐れられた旧3年生スプリンター・新開隼人の弟なのだ。

新開隼人といえば、原作でも大人気、舞台でも宮崎秋人さんが演じた超人気キャラなだけに、飯山さんの感じるプレッシャーは大きなものだったろう。劇中でも、「新開隼人の弟だから」というだけで注目される悠人の葛藤を描いたシーンがあったが、筆者から見ても、20歳の若手ならではの初々しい演技は、隼人と比べられたくないと足掻く悠人のエモーショナルな部分をうまく表していたと思う。

画面中央右奧に見えるのが、新キャストの新開悠人(飯山裕太)だ

また、個人的にとても注目していたのが、人気キャラである真波役がキャスト変更されたことだ。

新キャストとして真波を演じたのは、若手注目株である谷水力さん。『あんさんぶるスターズ!オン・ステージ』では衣更真緒役を演じたこともあり、筆者は彼にとても注目していた。

第2作目から前作まで植田さんが演じていた超人気キャラとしての期待を超えることができるのか? そんな気負いもきっと谷水さんの中にあったことだろう。その気負いさえもスパイスに変えて、前作までよりも少しキリッとした雰囲気の真波が板の上に立っていた。「インターハイでクライマーとして坂道に負けた」、その重さを背負っ た作中の真波の心境はきっと、植田さんからキャストとしてバトンを渡された谷水さんの状況にリンクしているのではないだろうか。

劇中でもクライマーの先輩である東堂に「自由に走れ」と諭されるシーンがあるが、これからの“ペダステ”でもきっと“谷水力らしい真波”を思う存分見せてくれるに違いないと思う演技を、今回見られたと思う。

前作『総北新世代、始動』からの出演、兼崎健太郎さん演じる銅橋正清(どうばしまさきよ)も、今作では圧倒的な存在感を放っていた。

箱根学園自転車競技部で退部と再入部を繰り返した男。どんなに先輩に理不尽な扱いを受けても、 “強さ”という純粋な信念を決して曲げることなく貫いた銅橋――そんなキャラクターの持つ純粋な魅力を、兼崎はしっかりと理解して表現してくれる。

きっとこの先に上演されるであろう続編でも、銅橋は兼崎さんに任せておいて安心に違いないと思わされる。