[C]母乳とミルクの混合の母親も負の感情を持つ

では、母乳とミルクの混合の母親の場合は、罪悪感やストレスが少ないのかというと、そうでもないようです。

やはり、「母乳の出が悪いので仕方がない」とか、「職場では母乳を与えられないので」などと、どうして完全母乳育児ができないのかという弁解をしなければならないと感じています。

完全母乳育児でないことを恥じる気持ちも持ってしまうのです。

研究者が、母乳育児推進戦略を“有害無益”だと言う理由

さて、以上の結果から、母乳が赤ちゃんにとっては最善の栄養であるにも関わらず、研究者達が、「母乳が最善」というキャッチフレーズや、母乳育児推進戦略を、有害無益とまで言い切る理由が見えましたね。

育児は、乳を与えることだけではありません。オムツを替え、泣けばあやし、赤ちゃんの体調の変化を常に見守り、さらに肉体的、精神的な成長を促すために母親は様々な努力をします。

そんな母親に必要なのは、決して強い劣等感や罪悪感ではありませんよね。

女性も仕事を持つこと、父親の育児参加など現在の社会のあり様や、母親が受ける精神的ダメージを考えると、それこそ有害と言えるでしょう。

「母乳が最善」という認識は母親なら誰しも持っているでしょう。それができる人はやっているはず。

やらないのにはそれなりの理由があるのですし、それは他人に弁解しなければならないような問題ではありません。

今では母乳に近いミルクもあるのですから、完全ミルクや混合にしろ、それぞれの事情に合わせて、堂々と選べばいいのです。

<参考>サイエンスニュースEurekAlert!

「元日本航空CA、英語プリスクール経営者、保育士。幼児教育研究家として『日本欧米いいとこどり育児のススメ』をYouTubeでも発信。著書に『グローバル社会に生きる子どものためのしつけと習慣』『5歳からでも間に合う お金をかけずにわが子をバイリンガルにする方法』『モンテソ―リ教育で伸びる子を育てる』、『ホンマでっかTV』に子ども教育評論家として出演など。」