―川内家にとってのM高史
M:普段、マラソン以外の会話ってしますか。
鮮輝:
ほぼ、マラソンの話ですね。
母:
それぞれが取り組んでいるものなので、どうしてもマラソンの話が多くなりますね。
M:川内家の会話にM高史が出てくることは。
鴻輝:
結構ありますよ。兄も「Mさんユニフォーム変えない方が良かったのに」とか、「最近、似てきてないよね?」とか、「俺、髪切ったけど」とか言っていました。
あと、Mさんが取り組んでいる福祉事業や社会貢献活動など自分ができていない活動を応援していますね。自分は大きな大会が中心だけど、Mさんが自分の代わりに全国大小様々な大会に行ってくれているという感じがあるようです。
M:「○○でお会いしましたよね~」って、ご本人とよく間違われることがあるのですが、その逆もあったりするのですかね?
鴻輝:
逆もしょっちゅうあるようですよ。「M高史に似ていますね!」や「○○でご挨拶させていただきました!」と言われて、「それM高史じゃないですかねぇ…。」みたいなことが。
あと、市民ランナーの方がFacebookで兄と一緒に映った写真をアップすると、自動的に顔認証されてM高史と一緒にいますってタグ付けされます(笑)
M:そうです!この前のさいたま国際マラソンで、優輝さんのパネルがあって、参加者がそこで写真をとると僕が勝手にタグ付けされるということがありましたね。ちなみに僕が最初に出てきたときどう思いましたか?
鴻輝:
僕よりも明らかに兄に似ているなって。
母:
やっぱり世の中には似ている人がいるなって。
鮮輝:
兄の知名度を疑っていたので、兄のモノマネをしても厳しいのではないのかって(笑)。兄もいつまで続くかわからないからMさんのことが心配でしたね。
―ロンドン世界陸上へ懸ける思い
M:年末にロンドンを試走に行ったようですが、ロンドンに向けてのスケジュールは。
母:
綿密に組んでいますね。月一回は海外のレースに行ったりもしていますしね。
鴻輝:
練習メニューは綿密に組み立ててはいるのですが、急に変えたりすることもありますね。僕の練習を引っ張ってくれたりすることもありますしね。設定タイムより速いですけど。練習メニューに関しては柔軟性があると思います。
M:鴻輝さんの初マラソンとなった2012年のかすみがうらマラソンで優輝さんがペースメーカーをすると言いながらも途中から独走したこともあったとか。
鴻輝:
キロ3分25秒で引っ張ってくれると言っていたのですが、20kmを過ぎたくらいから3分20秒に上がっていって。
そのとき先頭のアメリカ人が結構飛ばしていて、その後ろに僕らの集団だったのですが、突然「市民ランナーの意地を見せるぞ!」って叫んで追いかけて、追い抜いて、ラストの2.195kmが6分09秒(この記録は世界歴代2位)という驚異的なラップで駆け抜けて優勝してました。
M:その大会がマラソンでの初優勝を皮切りに、その後、多くの大会で優勝を重ねるようになりましたよね。
―日本代表ラストレースがロンドン世界陸上の理由
M:韓国とモスクワでの世界陸上では両方とも18位。
今回のロンドンでは30度以下の暑さなら大丈夫と言っていましたが、暑さへの苦手意識が生まれたのは隠岐の島(2011年隠岐の島ウルトラマラソン50kmの部に出場し熱中症により途中棄権している)での大会ですか?
母:
そうですね。あのときは生死の境をさまよいましたからね。それがトラウマになっているのが大きいような気がします。暑さを感じると、そのときの思い出がよみがえってくるのでしょうね。
M:ロンドンへ掛ける思いが強い理由は?
母:
本人の中では暑い中でのレースではダメだというのがあるので、2017ロンドン世界陸上の次は2019ドーハ世界陸上、その次は2020東京オリンピックという両方とも暑い環境になりますよね。
だから、もうそこは狙えないなと前から言っていました。それにロンドン五輪のときに代表になれなかったという悔しさもあって、今回のロンドン世界陸上にかける思いは強いでしょうね。
モスクワ世界陸上から4年経ちましたけど、その間に海外のレースに何本も走ってきて経験は誰よりも積んでいると思います。その経験を生かして、今回は集大成にしてほしいなと思います。