新型コロナウイルス感染拡大に伴う全国的な自粛期間真っ只中の5月6日深夜、画期的な番組がオンエアーされた。それが、家フェス『STAY HOME,STAY STRONG〜音楽で日本を元気に!〜』だ。
フジテレビ地上波、CS放送フジテレビONE、動画配信サービス「FOD」で放送・配信されたこのプログラムは、総勢38アーティストが、思い思いのスタイルで収録した在宅パフォーマンスを繰り広げるという、まったく新しいスタイルの音楽番組だった。
リアル以上に響いた各アーティストのガチな思い、そして短い制作期間で番組を作り上げた制作スタッフのマジな思い、これらを実行委員長の氣志團・綾小路 翔とフジテレビの平野雄大が、その裏側も含めて語り尽くす。
綾小路 翔(氣志團)が語る!あの画期的な音楽番組“家フェス”が成し遂げたこと(前編)に続く、中編をお届けします。
番組の趣旨や伝えたいことを視聴者に真っ直ぐ届けられた
── 地上波へのこだわりというのは最初からあったのでしょうか?
平野 自分自身もたまたまテレビで見たアーティストに心奪われて、大袈裟に言えばそこから人生が変わったっていうことってありますからね。依然、一番影響力のあるメディアだと思うので、地上波ということにはこだわりました。
今回は音楽番組というよりも、テレビで開催する音楽フェスということにこだわりました。だからこそ、ちゃんと一人でフィジカルに音楽を完結できるアーティスト、3分で伝え切れる力のある人にオファーしたいと思ったんですよね。
── やっぱりこれは、新型コロナウイルスによる感染症拡大ということがなければなかった番組なんでしょうか?
平野 間違いなくそうですね。あの緊急事態宣言のタイミングで何か言いたいこととか思っていることがすごく溜まっていたと思うんですよ、アーティストのみなさんも。その思いを発する場所をテレビの中に作りたいって思いました。
── それと、深夜の放送だったということが、より視聴者との親密な空気を作り出していたと思います。
平野 そうですね。翔さんがおっしゃったAMラジオ感というのは、深夜だからこそできたという面はあると思います。
あと、暗いニュースばかりが流れていて、みんなの心が疲れてきているタイミングだったんで、湿っぽくならないように楽しい番組にして日本中を元気つけよう、というのは皆で意識しました。
── それぞれの出演者のパフォーマンスも素晴らしかったですけど、時折差し込まれる引きの画が印象的で。
真っ暗なスタジオの中にポツンとセットがあってそこに一人いる翔さんの画はめちゃくちゃエモかったですね(笑)。あ、翔やんも一人なんだ!って。
綾小路 V4という一番どでかいスタジオの隅にセットが作ってあったんですけど、ちょっと考えて欲しかったのは、スタッフの人との距離がありすぎてカンペが見えないっていうね(笑)。
暗いし遠いし。もう途中で見るのやめましたけど。そのへんはライブ感ありましたね。あのセットもね、絶対にそこ映らねーよっていう部分にまでこだわって作っていただいて、大道具さんたちの魂を感じましたね。
イメージは中坊の時の友達の家。自分たちが中高生の頃は絶対と言っていいほど、母屋とは別にプレハブの物置みたいな小屋を建ててもらっていたやつがいたんですよ。そこがだいたい溜まり場になっていて。
その中には今や一切見なくなりましたが、大型のコンポが置いてあったんですよね。それを熱く打ち合わせで語ったら、ちゃんとセットに反映してくれていましたね。
もう気に入りすぎて、2ヶ月くらいあの部屋にステイできるなって思いましたもん(笑)。それくらいクオリティーが高かったです。それもあってですかね、喋りすぎてしまって(笑)。
もう自分の部屋で大好きなアーティストやバンドのビデオを見ながら一人でだべってるだけというね(笑)。
夕方くらいから収録に臨んで、3時間一本勝負というタイム感だったんですけど、終わったらテッペン越えてましたから(笑)。だから編集の皆さんは相当大変だったと思います。
そうやって番組に携わった人たちそれぞれの思いも合わさって、番組の趣旨とか伝えたかったことっていうのが、こんなにも真っ直ぐに視聴者のみなさんにきちんと届くんだっていう手応えは、すごく大きかったですね。正直言って、初めての感覚でした。