誰か任せではいけない。僕らがちゃんとアピールしていかないと
── 対馬さんが4月3日のnoteに書かれたステートメントがとにかく印象的で多くの人に感銘を与えたと思うんですけど。
自己資金2000万円のうちの半分を困っている音楽関係者への寄付「White Teeth Donation」に充て、もう半分を将来のために音楽業界の構造を変えていくようなアクションのために使用したいと。
それはいまGotchさんのおっしゃった、音楽の地位の向上、ということとも大きく関係していますよね?
対馬 まさにそこだと思います。音楽の地位というのは、この国においてはやっぱり低いんだなということを痛感したんですよね。
ただそれは、有事の時に毎回思うんですよ。3.11の震災の時もそうでしたし。そういう事実に直面した時に思うのは、国や国民に対してというよりも、これは自分たちの問題だなということです。
まさにGotchさんがおっしゃったように、僕らがちゃんとアピールしていかないといけないことであって、誰か任せではいけないんだと。
だからGotchさんの活動って、今回のコロナだけではなくて、ずっと一貫しているし、筋が通っていますよね。そういうアーティストやレーベル、プロダクションなんかがたくさん増えていくことが何より大切だと思います。
もちろんビジネスという側面も大事なんですけど、全部のベクトルが「売れるため、売るため」になってしまうと、何と言うか、合戦というか領土の奪い合いというか……ちょっとね。
やっぱりカルチャーである以上、ビジネスとそうじゃない部分というのは両立しないといけないと思います。つまりそこをどうにかしなきゃいけないっていうのをずっと考えているんですよ。
今回のコロナのことで、いろんなものが表面化しましたよね。音楽や文化的なものに対する国の態度とか、あるいは企業における経営者と社員の関係とか、良くも悪くもいろんなことが炙り出された。
そこで悪い面ばかりに注目して、そこを叩くことに精力を傾けるよりも、もっと良い面に目を向けて、こんな素晴らしいことを考えている人がいるんだ、とか、同じことを考えて行動している仲間がいるんだ、ということを知れた。
そこをポジティブに捉えたいし、大事にしていきたいなって思いますね。そしてそれが、次のアクションにつながるものだと信じています。
■各回更新!
音楽関係者に向けたドネーション(寄付)「White Teeth Donation」について語る、アジカン後藤正文×対馬芳昭(origami PRODUCTIONS)スペシャル対談(中編)
「多様性」とこれからの「音楽シーン」について語る、アジカン後藤正文×対馬芳昭(origami PRODUCTIONS)スペシャル対談(後編)
Gotchの『Stay Inside feat. Mabanua』『Mirai Mirai feat. Shingo Suzuki』は、「OTOTOY」から購入できます。
そのほかリリース情報はGotch(ASIAN KUNG-FU GENERATION)公式サイトをご覧ください。
対馬芳昭(origami PRODUCTIONS)が立ち上げた「White Teeth Donation」の詳細はorigami PRODUCTIONSや、noteをご覧ください。