Photo:小境勝巳

敷居の低いスマホで何かを感じてもらえたら…

ーーそんなアルバム制作時期に、突如発表されたLIVEWIRE「銀杏BOYZ スマホライブ2020」。ライブ配信はこの時期珍しくなくなりましたけど、銀杏BOYZはスマホで撮影したものを配信するという。

峯田 結構いろんなバンドが「どうにしかして、歌を通して気持ちを伝えたい」ってことでライブ配信をやってるじゃないですか。この気持ちはすごくよくわかるし、だから俺もやってみよっかなーと思ったの。

たださ、これは俺だけの感覚かもしれないけど、「ライブ」っていうのは、単にステージ側の演奏だけを見せればライブっていうことではないんだよね。やっぱりお客さんとバンドの空間ができてこそライブになると思うの。

銀杏BOYZで言えば、音だけじゃなくて、お客さんの汗とか、お客さんのヨダレとか、ライブハウスの湿気とか、「峯田ー」っていう声とか、「死ねー」っていう怒号とか。そういうものが全部一緒になって初めてライブになるんだ。

これに対して、ライブ配信ってまずお客さんがいないでしょ。だから銀杏BOYZで言うと、配信ライブっていうのは実はありえないことでもあったの。だからと言って「ライブじゃないんだから、練習スタジオでメンバーで音を合わせているところを見せましょう」っていうのもやっぱり違う。

でもさ、せっかくの機会でしょ。だったらちゃんとした機材を揃えて配信するんじゃなくて、徹底的に画質を悪くして、徹底的に音も悪くして見せたいと。それにはスマホで録るのが一番だなと思って。それでスマホでやることにしたの。

普段皆さんが動画とか写真を観ているようなあの画質ですよ。敷居の低い、あのスマホの感覚で何かを感じてもらえたらいいなと思って。

ーースマホは何台使うんですか?

峯田 今のところ2台。自撮り棒のやつと手持ちのやつ。どうなるかわかんないけど、普段のライブでは味わえない映像になると良いなと思っています。

ーー観る人にメッセージはありますか?

峯田 ない。

ーーないんですか?

峯田 ないよ、そんなもん。だって音楽って、最初は俺が作ったとしてもさ、やっぱり誰かが聴いたり観たりしたら、それはお客さんのものになるわけだから。だから、観てくれる人は、勝手に楽しんでもらうのが一番良いよね。勝手に楽しんでもらって、銀杏BOYZとお客さんの間で何か共有できるものが生まれたら最高。

俺はそれをやりたくて、ずっとバンドやってるんだから。だから、スマホでのライブも、家だろうとどこだろうと、好き勝手に自由に楽しんでもらえたらいいなと思っています。

LIVEWIRE「銀杏BOYZ スマホライブ2020」

2020年8月12日(水)20:00 開演 ( 19:00 開場 )~2020/8/18(火)
会場:PIA LIVE STREAM

音楽事務所、出版社勤務などを経て2001年よりフリーランス。2003年に編集プロダクション・デコ有限会社を設立。 出版物(雑誌・書籍)、WEBメディアなど多くの媒体の編集・執筆にたずさわる。エンタテインメント、カルチャー、 乗り物、飲食、料理、企業・商品の変遷、台湾などに詳しい。台湾に関する著書に『パワースポット・オブ・台湾』(玄光社)、 『台北以外の台湾ガイド』(亜紀書房)、『台湾迷路案内』(オークラ出版)などがある。HP(http://deco-tokyo.com/