「不純の時代」に対して、銀杏BOYZが目指す表現とは?
── ただ、それまでの作品に比べると、よりアルバム全体の構成が壮大になって、歌詞もより深い曲が多いようにも思いました。
峯田 へぇ……自分ではわからないけどね。
── 「コンセプトをしっかり決めた」とかもないですか?
峯田 ないよ、そんなの(笑)。たださ、ファーストの2枚が出た15年前、それと前のアルバムが出た6年9ヶ月前と今が確実に違うのはさ、今は「不純の時代」だっていうこと。
例えばスマホ、SNSでもなんでも良いんだけど、誰でもすぐに繋がることができるじゃん。もちろん、それで良いこともあるとは思う。でもさ、例えば愛し合っている2人がいたとしてパッと見は幸せそうに見えても、その2人の間には、お互い絶対に言えないような秘密なんていっぱいあるんじゃないかと思う。まぁわかりやすい例だと浮気とか不倫とかね。していない人はしていないだろうけど。
でも、結構多いんじゃないかって思うんだ。実際、僕にしたってインスタグラムのメッセージとかで、彼氏のいる女の子とか人妻から「会いたい」「会ってもらえませんか」みたいなメッセージがすげー来るんだよ。
そこでまたよくみんなが言うのがさ、「じゃあどこまでしたら浮気なのよ?」「ヤッてないから浮気じゃない」みたいなこと。「いや、手を繋いだ時点でアウトだ」「キスしたらダメだ」「いやいや、キスならまだ良いっしょー」みたいに言う。
でもさ、付き合ってる人がいるのに「会いたい」って送って、「じゃあまずは会おっか」みたいに受けた時点で完全アウトだと思うの。精神的な意味で言えば。
── 気持ちが向いてしまっているという点ではそうですよね。
峯田 言ってしまえばさ、今は1億総浮気時代なわけですよ、これ(笑)。だからいかに我々は50年前、20年前に比べて不純になっているかっていうことだと思うの。「いや、キスしていないし」「これくらいみんなやってるし」みたいに正当化する人もいるけど、不純も不純。淀みまくっているのが今なわけ。
たださ、こういう不純なことを社会が批判したり、誰かが咎めたり、制裁を科されることがあったとしても歌を歌う身の僕からすると、一言も、それを裁くようなことは歌いたくないの。
むしろ、そうやって何か取り返しのつかないことになってしまった人、やましい気持ちを抱えてる人、誰にも打ち明けられずに一人だけで何かを抱え込んでいる人にとって、せめて音楽くらいは寄りどころになってくれたら良いなっていう。
まぁ別に不倫とか浮気とかはあくまでも角度の話だから、そこだけに絞って考えているわけではないけどね。不倫や浮気に限らずさ、「友達の彼女を好きになっちゃった」とかなんでも良いんだけど(笑)。一般的に「やっちゃいけない」とされることを犯してしまった人にとって、銀杏BOYZの音楽だけは寄りどころでありたいっていう。せめて今回のアルバムのコンセプトらしきことを言うんだとしたら、それくらいかな。ただ、そこは銀杏BOYZを始めた頃から思ってたことだから、今回のアルバムで急に考えついたことではないんだけどね。
※次回につづく
リリース情報
銀杏BOYZ ニュー・アルバム『ねえみんな大好きだよ』
10月21日(水)発売
品番:SKOOL-049 価格:3,300円+税
収録曲(全11曲)
01.DO YOU LIKE ME
02.SKOOL PILL
03.大人全滅
04.アーメン・ザーメン・メリーチェイン
05.骨
06.エンジェルベイビー
07.恋は永遠 feat.YUKI
08.いちごの唄 long long cake mix
09.生きたい
10.GOD SAVE THE わーるど
11.アレックス