デビュー25周年を記念する全都道府県ツアー「ゴスペラーズ坂ツアー2019~2020“G25”」がコロナ渦で中断、全56公演中37公演を中止しなければならなかったゴスペラーズ。しかし7月上旬から“グループ初の無観客配信ライブ”“ソーシャスディスタンスを徹底して観客を入れた収録ライブ”などで、ライブ活動を再開させた。
9月14日には、ゴスペラーズの多くの楽曲で作詩を手掛ける安岡 優がソロライヴ「安岡 優 ソロライヴ 2020 “お兄さんと一生!?”」を開催する。毎年恒例となっている安岡のソロライヴ。今年は、ソーシャルディスタンスを遵守し観客を入れ、同時に生配信を行うという、グループにとっても安岡本人にとっても、初めてのスタイルで実施される。
ソロライヴのこと、そしてこれからのエンターテインメントの在り方について、安岡 優が語る。
僕のライブに来てくれたお客さんは、僕のスポンサーみたいなもんです(笑)
――2010年からソロライヴをやってます。最初のきっかけを教えてください。
安岡 それは「ぴあ」さんのおかげなんですよね。まだ雑誌だった頃の「ぴあ」さんで「架空の主題歌」って連載をやらせていただいていたんです。これは、いろんな映画の主題歌を想定して、勝手に歌だけ書くって内容だったんですね。で、連載当初、連載2年続ければ、書籍化出来ますよって言われていて。
で、いざ書籍化されるってなった際、僕がすごいわがままを言ったんですね(笑)。
――それはどういう?(笑)
安岡 連載用に書いた歌詩に自分で曲をつけるから、書籍にCDを付けて欲しい、と。そしたら、そのわがままを実現してくれて。今思えば、本当に大変だったろうな、ありがたいなと思うんですけど。
で、この発売を記念したライブがソロの初ライブ。「ユタカさん、時間です。」というお芝居仕立てのライブだったんです。最初は、僕と、マニュピレーターと、LEDという3人編成でした。同時に、「架空の主題歌」をバンドでライブにしたいと思っていて、それが実現するのは、初ライブから、2年後になるんですけど。
――ゴスペラーズの活動もありますからね。
安岡 そうそう。やっぱりまずは、ゴスペラーズの活動をしっかりやらないといけない。ソロのチャンスって、周年の後に来るんです。
――あぁ、グループとしてちょっと一息入れて、それぞれが次を考えるタイミング。
安岡 そうそう。だから僕の中では、「架空の主題歌」のバンドツアー(2012年)が終わってから、次のタイミングまで約3年間、準備期間があるなと思った。
1年に1回ライブがあるとすると合計3回ある。ライブの度に3曲新曲をライブでやれば合計9曲。そこに新曲数曲を加えたら、アルバム1枚になる。じゃあ、そこを目指す3年間にしようと思ったんです。
――で、実際にアルバムになったのが『バラードが聴こえる』ということ?
安岡 そうそう。毎年ライブをやってきたおかげで、既に完成形があるわけだから、後は、言うなれば、レコーディングという清書をするだけの状態だったんですね。ゴスペラーズのツアー中だったから、後は俺が頑張るからって言って作ったんです。それで出来上がったのが『バラードが聴こえる』。
このアルバムがリリース出来たのも、言ってみれば、毎年、ライブをやっていたおかげなんです。毎年ライブをやっている、やれているってことが僕の武器で、唯一の実績だったんですよ。言うなれば、毎年、僕のライブに来てくださった皆さんがいたおかげで、レコーディング出来たし、これからもきっとそうなるんじゃないかな、と。今の状況じゃ、なんとも言えないのが申し訳ないんですけど。
だから、僕のライブに来てくれたお客さんは、僕のスポンサーみたいなもんです(一同笑)。
――スポンサーって……。もっとロマンティックな言い方ないですかね?
安岡 そうだね。スポンサーって、あんまりだよね(笑)。じゃあ、フランス語で。……皆さんは僕のパトロオーネです。
――さすがだわー。ありがとうございます。
安岡(笑)パトロオーネの皆さんがいたから、アルバムもリリース出来たし、それが最終的に、舞台「バラードが聴こえる」につながり、今のライブの形になっていったんですね。
ソロライヴをスタートさせてから、僕のしたいことと、僕を観たい人と、どちらにもいいものをどうしたら作れるかっていうのをひたすら考えて来たんです。でもお客さんが何を求めているかっていうのは、毎年、ライブをやらないと本当にわからないんですよね。お客さんの反応からいろいろ感じるし、それを感じることが大切だと思ってますね。