撮影/奥田耕平

あの別れが僕たちを前に進ませてくれた

――本作ではいろんな告白シーンが登場しますが、おふたりは好きになったら自分から告白するタイプですか? それともそっと想いを胸に閉じ込めるタイプですか?

島﨑 僕は想いが高まったら衝動的に動いてしまう人間です(笑)。結果、空回っちゃったり、告白のタイミングでコケちゃうこともあるんですけど。わりと自分の気持ちには素直なタイプなのかなと。

北村 僕も自分から伝えますけど、気持ちのままには行けないですね。タイミングをすごく気にしちゃうというか。ただ、計算しすぎることで失敗することもあって。タイミングを探しているうちに、そのタイミングが過ぎ去っていた……ということはありました(笑)。

――本作の特徴が、振られたあとにそれぞれが人間的に成長し、恋が新たな局面を迎えるところです。おふたりの「失恋」に関する思い出を聞かせてください。

北村 この作品ほどのものはないですけど……(笑)。

島﨑 あんなドラマチックなのはね(笑)。

北村 ただ、別れが人を強くするというのは信じています。失恋ではないですけど、僕がやっているDISH//というバンドのメンバーのひとりが脱退することになって…。

そのとき、バンドを続けるか解散するかという選択を提示されると覚悟していたんですけど、メンバーが誰ひとりバンドを辞める気がなくて、これからもDISH//を続けることが正義だって、みんなの心がひとつだったんです。

それをきっかけにバンドの結束もより深まって。あの別れは悲しかったけれど、僕たちを確実に前に進ませてくれた。別れは必ずしもネガティブなものではないんだって、あのとき実感しました。

島﨑 月並みな言葉だけど、失ってから気づくことっていっぱいありますよね。確かに傷つくし苦しいけど、別れがなかったらわからないこともきっとある。

だから、あとはその人の捉え方次第。前向きに考えることができれば、どんな悲しいことでも前に進むきっかけになるし、失敗から学ぶこともあるよなって僕も思います。

撮影/奥田耕平

――おふたりは傷ついたらすぐ立ち直れるタイプですか?

島﨑 僕はすぐ立ち直れます(笑)。ずっとウジウジ悩んでいてもしょうがないじゃないですか。だったら次の反省として活かすか、忘れた方がいいことなら気にしないに限ります。それに、もしそれが悔しさから来るものなら、見返してやるって反骨心に変えればいい。僕はわりと負けず嫌いな方なので、今までもネガティブなことがあったら、それをエネルギーに変えて、その反動でやってきたようなところはある気がしますね。

北村 僕は基本的に滅多に落ち込まないんですけど、落ち込んだときはネガティブにネガティブを掛け算してプラスに変えます。

自分で落ち込んだなと思ったときは、無理せずいけるところまで落ちきる! もう明るい曲とか一切聴かない(笑)。そうやって沈むだけ沈んだら、あとはのぼるだけだって気持ちを切り替えます。

中学のとき、文化祭でお姫様役をやりました(笑)

――では最後に、文化祭が重要なシーンとして登場しますが、おふたりの文化祭の思い出を教えてください。

北村 僕は高校時代に文化祭実行委員をやっていて。高2のときに全学年合同の出し物グランプリがあって、それで僕たち2年生が3年生を置き去りにして賞を総なめしたんですよ(笑)

島﨑 そんなすごいものを出したんですか?

北村 僕らはショートフィルムを撮ったんですけど。僕は編集とかをやっていて。賞が決まったときはすごいカタルシスでしたね。そういうグランプリって普通は3年生がメインだから、自分たちが呼ばれるなんてまったく思っていなくて。発表の瞬間、「嘘だろ!?」ってみんなで立ち上がるっていう。あのときはうれしかったですね。

島﨑 そんな素晴らしい青春の思い出は残念ながら僕にはないんですけど(笑)、中学のときに生徒会長をやっていて。うちの中学では文化祭で生徒会が演劇をやって、生徒会長はお姫様役をやるという謎の伝統があったんですよ。『眠り姫』みたいなお話なんですけど、僕が最後に復活して、王子様役の男の子をお姫様抱っこして走り回るっていう(笑)。

北村 めっちゃ面白そうじゃないですか(笑)。

島﨑 おかげさまでウケました。今考えてもよくわからない伝統ですね(笑)。